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日精協・山崎氏、「5疾病」で期待すること

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日精協・山崎氏、「5疾病」で期待すること
日本精神科病院協会会長の山崎學さん
【第166回】山崎學さん(日本精神科病院協会会長)

 社会保障審議会の医療部会は7月、都道府県が医療計画に記載する「4疾病5事業」に精神科疾患を追加し、「5疾病5事業」とすることを了承した。昨年12月、同部会に追加を提案した日本精神科病院協会会長の山崎學さんは、精神科疾患は患者数が増加しており、対策の重要性が高まっているものの、国の対策は「安かろう悪かろう」で、不十分だと指摘する。精神科疾患が「5疾病」に位置付けられることで、山崎さんはどんなことを期待しているのか—。(高崎慎也)

—4疾病(がん、糖尿病、脳卒中、心筋梗塞)に精神科疾患を追加し、「5疾病」とするよう医療部会に提案した背景を教えてください。
 患者数の増加、自殺者数への影響、国際的な動向を考慮しました。

 精神科疾患の患者は、2008年に323万人となり、1996年の218万人から1.5倍にまで増えています。これは、糖尿病(237万人)やがん(195万人)など既存の4疾病よりはるかに多い数字。特に、認知症やうつ病、発達障害の患者が増えています。
 自殺者数は98年以降、13年連続で3万人を上回っています。この背景には、気分障害の患者の増加があり、2008年には100万人を超えています。

 国際的な動向では、世界保健機関(WHO)は「DALY」(障害調整生命年)という新しい指標を用いて精神科疾患の影響について調査しています。この指標は、ある病気にかかった人が死ぬまでにどれくらいの年月、その病気で苦しむのかを表すもの。この指標で見ると、精神科疾患はがんや循環器疾患より障害を抱えたまま生きる年数が長いのです。

—提案の際には、「一般医療と精神科医療との連携強化や地域連携を一層強化する必要がある」と提言しています。
 認知症の場合には特にそうですが、精神疾患の患者には身体合併症を持っている人が非常に多い。例えば、糖尿病の治療をしている人が認知症にかかるケース。内科では認知症の治療はできないので、精神科がかかわる必要が出てきます。また、近年は精神科の入院患者の高齢化が進み、約半数を65歳以上が占める状況になっており、高齢化した精神障害者の合併症対策に一般科と連携して取り組む必要性が高まっています。精神科病院は単科の病院がほとんどなので、一般病院との連携が重要になるでしょう。

—地域医療計画に「4疾病5事業」を位置付けることになった06年の医療法改正の際には、精神科疾患の追加を要望しなかったのですか。
 当時も日精協で検討しましたが、一部に反対意見があり、意思統一できなかったので見送りました。
 反対した先生からは、医療計画に記載がある病院と、記載されていない病院で差別化が進むのではないかと懸念する声がありました。ただ、この理由はおかしいと思います。すべての病院が参画できるような医療計画を国や都道府県に作らせればよいのです。

■各病院の役割・機能が明確に

—精神科疾患が加わり「5疾病」となることで、どのようなことを期待していますか。
 最も大きいのは、それぞれの病院や診療所が担う役割や機能が明確になることです。スタッフが充実しており、急性期から長期療養までを担う病院もあれば、スタッフが少なく急性期はできないが、長期療養はしっかりやるという病院も出てくるでしょう。

 また、精神障害者に対する偏見がなくなるでしょう。行政から大規模な補助金が投入され、精神科医療の財政的な底上げにつながることを期待しています。

—精神科医療はほかの科と違い、厚生労働省で社会・援護局が担当しており、障害福祉として扱われている面があります。地域医療計画に精神科疾患が位置付けられることで、こうした扱いが変わるとお考えですか。
 06年に障害者自立支援法が施行され、精神・知的・身体の三障害の制度が一元化された際に、精神科疾患対策は社会・援護局の担当になりましたが、本来は医政局か健康局が担当すべきだと考えています。三障害といっても、知的・身体障害のような固定障害ではなく、精神障害は変動障害です。症状が安定していても、いつ悪化するか分からないので、常に医療との接点が必要になります。

—診療報酬では、精神病棟入院基本料は、一般病棟入院基本料に比べて低い水準に抑えられています。
 わたしはむしろ、精神科の方が高く評価されてもおかしくないと考えています。一般科と違い、精神科の入院患者は放っておくと自傷・他害行為により、警察ざたになることもある。精神科医療は、社会防衛的な機能も担っているのです。しかし、現状の診療報酬体系では、これに対する評価がなく、逆に減額されている。少なくともほかの科並みの点数にすべきです。

■「看護配置」でなく「人員配置」に

—そのほかに、次の診療報酬改定で是正すべきと考える項目はありますか。
 看護師の人数と入院患者の比率で入院基本料が決まる現在の仕組みは、おかしいと考えています。

 精神科では、PT(理学療法士)、OT(作業療法士)、PSW(精神保健福祉士)、臨床心理士など、さまざまな職種がかかわっています。60床病棟で3対1入院基本料を算定していれば、看護師が20人いなければならない計算になりますが、なぜ20人全員が看護師である必要があるのでしょう。チーム医療の推進が叫ばれているのですから、20人のうち10人は看護師、残る10人はその病院の目指す方向性によって、どの職種でもよい仕組みにすべきです。退院を中心にしたいので、残る10人のうち5人をPSWにする病院があってもいいし、高齢者が多いので介護福祉士を8人配置する病院があってもいい。「看護配置」ではなく「人員配置」にして、自由に人員配置を決められるようにすべきです。


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