http://ameblo.jp/turtlehaze/entry-10475662434.html の続き


話を元に戻そう。ズボン丈である。

サヴィル・ロー・スタイルにおいて、正しくは靴の甲の上でワンクッションさせなければいけない。ところが、冒頭ご案内のとおり、日本のオヤジのズボンはワンクッションどころかノークッションでさらに、靴の甲から浮いている。どういう経過でこんなトンチンカンなことになってしまったのか。


これは、収入の差や地位、名声などに関わらず、オヤジ全般に見受けられる様相だ。

そこそこ金持ってても、ツンツルテンなのだ。例えば、野村克也阪神タイガース監督。野村はヴェルサーチとか着ているらしい。どうも紀尾井町ニューオータニのヴェルサーチで購入しているみたいだ。

しかし、ツンツルテンである。「丈、ちょっと長いんちゃうか」この一言で、ジャンニ・ヴェルサーチの遺作はズタズタに短くされてしまう。ヴェルサーチは死ぬ前に顧客リストのチェックをすべきだったろう。


少々まじめな話になるが、これは原因がはっきりしている。畳と絨毯の違いなのだ。

外人は靴を履いたまま、部屋に上がる。しかし、日本人は靴を脱いで畳に上がる。この際、ズボンの裾を引きづって、「松の廊下」にならないように調整されているのだ。

日本の一般男性に背広が普及し始めても、まだまだ日本人も体格が良くなく、胴長短足だった。公の場やお祝いの席、弔の席もほとんど畳だった。もちろん、今でも畳の場に出なくてはいけない機会はたくさんあるだろうが、それは昔の比ではない。(続く)