http://ameblo.jp/turtlehaze/entry-10456136306.html の続き
第3話「ズボン丈」
前回はベルトのバックルについて検証した。
今回はベルトの位置からさらに目線を下げてみよう。
そこには何が見えるだろうか?
靴下? 靴? いやいや、その前に目に止まるものがあるはずだ。
それはズボンの裾である。
このオヤジのズボンの裾をよく見ていただきたい。
なにかに気づかないだろうか。
俺はずっと以前から気づいている。
オヤジのズボン丈がやたらと短いのだ。
つまり、言うところのツンツルテンである。長さとしては、だいたい裾が、靴の甲からちょっと浮くぐらい。このツンツルテンは単にみっともないというより、ものすごく頭の悪い感じがする。
なぜ、オヤジのズボン丈はツンツルテンなのだろう。
このことを考える前に、正しいズボン丈について説明させていただきたい。
まず、オヤジの着ている「背広」。
これは、ご存知のとおり、ロンドンのテーラー街、サヴィル・ローの当て字である。男性の近代洋服の雛型は、略式礼装から発展したこのサヴィル・ロー・スタイルにある。それが、日本に入ってきて、「背広」と相成った。「スーツ」という言葉は「スイート・ルーム」の「スイート」と同じスペルと意味で、洋服の場合ジャケットとパンツ、及びベストがセットアップされたものを指す。
いわゆる「三つ揃い」だ。
したがって、「サヴィル・ロー・テーラードのスーツ」というのが、世界中どこに出しても恥ずかしくない本来の男の洋服と言える。
さて、日本に入ってきて「背広」になった洋服は、和服に変わり日本男児の正装になった。
それにしても「背広」という当て字は、とてもウマイ。父権がまだ正しく存在 していたころは、父の背中は広かったのだ。だからこそ「背広」という言葉も生き生きとしてくる。
しかし、いまや「背広」はダメオヤジのユニフォームに成り下がってしまった。(続く)