僕はどうしてもこの事件に納得が出来ない。
今回の事件で登場する人物(会社)は
①中日本高速の逮捕された社員
②用地買収の対象者となった会社
③資金の流れを形成している各民間企業
こんなところである。
経験上だが、用地買収を行う為にはまず補償金の算定が必要になる。
だから一番最初にすべき事は、算定書の作成(現地調査)である。
一般的に地権者の同意がなければ算定書の作成(現地調査)が出来ないので、一番最初に用地担当者が交渉するのは、補償金算定の為の地権者の協力要請である。
仮に地権者が拒否した場合、強制執行という方法を取る事も出来るが、地権者が補償金の主張(120億円)をしている事から、おそらく何度かの交渉の末補償金算定に協力したものと推測される。
あまり報道で詳細が明かされていないので具体的な項目は判らないが、今回の補償算定には土地評価だけでなく営業補償や代替地(採掘権収得等の補償)などが計上されていると推測される。
そして叩き台として算出された金額が70億円(実際に支払われた金額)で、地権者の主張は120億円だという事なんだろう。
報道によると補償金の支払い(売買契約)は日本道路公団が民営化された後の2005年12月と言われている。
ただ民営化されたから補償金を支払う時に、俗に言う『お手盛り』が出来るかというとそうではない。
一般的に補償金額の支払額は算定書が基準となり、いくら地権者が莫大な補償金を要求してもそれを導き出す根拠がなければ絶対に支払われる事はありえない。(補償金と言う名目では)
ここで報道に出てきている『確認書』といわれる謎の書類がポイントとなる。
たしかに、このケースの場合考えられる『お手盛り』は合法的にやろうと思えば出来ると思う。
特に今回対象となる地権者は採石場を経営しているので、違う形で『お手盛り』をしようと思えばいくらでも方法は見つかる。
しかしいくらその方法を実行しようとしても、用地課単独の采配で出来るとは到底思えない。
それ以前に今回の地権者(音羽開発)は、様々な報道から推測すると『難航者(交渉が難しい人)』と言われている。
そうであれば、絶対にいち社員が1人で交渉に出向く事はありえない。
必ず複数回の交渉の大半は彼の上司もしくは同僚が同席しているはずであり、絶対に協議記録簿はのこていると推測される。
そうであれば『確認書』という存在は無いかも知れないが、それらしき口頭契約は記録簿に明記されていると思う。
ただこの社員が自分の利益だけの為に地権者を騙し、多額のお金を要求していたのであれば話が違う方向に向かうが、それこそ中日本高速が一番求めている結論の様な気がしてならない。
本当に残念な話である。