四畳半王国見聞録
「四畳半王国見聞録」 森見登美彦
哀れな批判者よ。どうしたって諸君の負けである。諸君は諸君の世界にいるはずであるのに、それでもなお、単に生きているだけでは自己を肯定することができぬのである。朝起きるたびにに世界を呪い、眠りにつくたびに己を呪う。自己正当化に血道を上げるぐらいならば、余は栄光ある惰眠を選ぶであろう。
★★★☆☆
レボリューション0
「レボリューション0」 金城一紀
「生物の進化は常に危険とともにある」
みんなは驚いたように舜臣を見た。
そして、あれは幻聴じゃなかったんだ、といった感じでへらへらと笑った。
さぁ、進化の時間だ。
この世界には、僕たちをグレイト・エスケイプへと導く要素と兆候が満ち溢れていることに。
足りないのは、それらを見つけ出す目と、聞き取る耳と、感じ取れるセンスだけなのだ。
退屈なのは、世界の責任じゃない。
怠惰な僕たちの作り出している世界が、退屈なだけなのだ。
★★★☆☆
1Q84 book3
1Q84 book3 村上春樹
私は特別な人間なのだと自負してもいました。しかし歳月はすべての人間から少しずつ命を奪っていきます。人は時期が来て死ぬのではありません。内側から徐々に死んでいき、やがて最終的な決済の期日を迎えるのです。誰もそこから逃れることはできません。人は受け取ったものの代価を払わなくてはなりません。私は今になってその真実を学んでいるだけです。
「お父さんはよほどそのお仕事が好きだったのね。NHKの受信料を集金して回ることが」
「好きとか嫌いとか、そんな類のものじゃなかったと思う。」と天吾は言った。
「じゃあいったいどういうタグイのものだったの?」
「それが父にとって、いちばん上手にできることだったんだ」
★★★★☆
マボロシの鳥
「マボロシの鳥」 太田光
「地球発…」より
うん。僕は昔、こう思っていたんだ。ぼくの神様だけが本当の神様だって。他の人の言う神様は嘘の神様だって。でもきっとそうじゃないんだ。ぼくに神様の話を聞かせてくれているその人こそが、ぼくの本当の神様なんだ。ぼくが、本当の本当に信じられるのは、人なんだ。だから、他の神様を信じる人達のしたことでも涙がこぼれるんだ。
★★★★☆