この話は今思い出しても恥ずかしさと恐怖心が蘇る


ある日、姐御から電話が。


「私の友達の息子さんが日本にとても興味があって、

 ぜひ話をしてみたいといってるんだけど、どう?

 向こうは同じ歳の学生が何人か集まって

 交流会みたいな事がしたいんだって!!       」


「はあ、」

「いい?OKね?じゃあ今度一緒に蘇州にいきましょう!」

「はあ、」


いつものようにまくし立てられ、なんだかしっくり来ないうちに話が終る。

それから一ヶ月ぐらいたってからの事本当に出張が決まった。


「明後日には蘇州につくから、何を話すか準備しておいてね」

と言われ、

適当に資料を作っていおいた。

たかだか交流会でなんで準備が必要なんだ?

と少し不審に思っていた。


途中でいくつか仕事をすませ夕方に蘇州入り。

同行していた若頭(副総経理:副社長)に

「さあ、大勝負だぞ」 と言われ、

そんなに大事なのか?

交流会でしょ?

重要な顧客の息子だからか?

考えているうちに到着したのは何か大きな立派な門の前。

「蘇州大学」 と書いてある。

「ほ~立派な大学が蘇州にあるって聞いてたけどこれかいな~」

とか思って車から降りると、ニコニコ顔の好青年が居た。


「おまちしてました、今日は宜しくお願いします。」

「こちらこそ。お招きいただいてありがとう。」

あ~ここで待ち合わせなのね。と思っていると。

「どうぞ。」

と彼が指した方向には大学の門が・・・・・

姐御も、若頭もそ知らぬ顔で大学に入っていく。

え?まさか?まさか・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

まあ、どっかで教室でも使ってやるんだろう。

いても5,6人位だろう。


校内をテクテク歩く。

ほ~ほ~日本の大学とあんまり変わらないな~

違うのは日本のようにわれ先にトガった格好をしようとか

変な格好をする事に優越感を覚えてるような奴が少ない。


そんな感じでなんとなく観察しながら歩いていると、

一向はなにか大きな建物の方へ。

でっけー!何だコリャ。体育館か?・・・・・・・・・・・・・・


って,っちょっと待て!!!!!!!!

まさか、まさか、


「お、おい、姐御。まさかここでやるんじゃないよね?」


姐御は御子息に笑顔を向けたまま

こちらを振り向きもしないで、邪険におれの腕を払い、

入り口に向かった。


さっと血の気が引いた


大きなドアの前で待っていた女の子がドアを開けると

中から、われんばかりの拍手が響いて来た


半泣き寸前で大観衆の前に引っ張り出される


背後にある5メートルはあろうかと思われる黒板には

デカデカと恐ろしい文字が。


「○○○○○先生(おれの名前) 日本経済論特別講義」 とある


ははははははは、終った。はははははははは


大講堂じゃないか、ははははははは


何百人いるんだ?はははははははは


姐御が

「しっかりやらないと大恥じかくわよ。」 と言った。



コロス・・・・・・・・・・・・ゼッタイコロス・・・・・・・・


姐御への殺意で何とか意識を繋ぎとめ、


挨拶を済ませる。あいもわらず、大きな拍手が鳴り響く。


ある程度資料を用意しておいて本当良かった。


「1時間半喋ってください」 係りが言う。


続きはまた今度。