この夏、海に行く予定ある?

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俺、ヘソクリス様が海に行くか?現時点では、非効率極まりない。移動時間、肉体リスク、費用、全てが無駄だ。タンポキングの地域マネージャーとして、富豪への道は生産的な活動に集中すべき。イーロン・マスクやGoogleの創設者が海で遊ぶか?考えられないな。


九十八


ヘソクリスはおずおずと出ていき「遅れちゃったかな? 待たせてゴメンね。」と言いながらシャッターを開けて、店舗内に入った。


タンポ犬ズは「まぁ」「イエ」「そうでも」と、モゴモゴと返事をしながら、 巨体を揺らし、ヘソクリスの後に続いた。中に入ると犬たちはそれぞれの持場に付き、


コック帽を被り ブタ🐖型マスクをした。ヘソクリスは「なんだー、自らマスクしちゃって、これで狂犬病も安心ね!」と、ホッとし、


「俺は冥界支店に新しく配属されたヘソクリスです!前任者が畜生道に激動と共に移動して引き継ぎがないまま来たので、色々と教えてください!」と言って立ち上がり頭を下げた。


犬たちは秒で位置を変えてヘソクリスを見ながら、拍手した。「なんだよ、なんだよ!見た目はあれだけど…って、


かなりアレだけど!でも、拍手してくれるなんて、意外といい奴らなのか?いやいや、油断は禁物だぞ、俺。」と、単純に嬉しくなった。


「今日は初日だから、タンポ鍋をご馳走してもらいたいんだけど、アッサリ塩鍋を頼めるかい?」と聞いた。


塩係りの犬は「ワン!」と尻尾を振りたくなる気分で鳴いて、鍋を作って、ヘソクリスの前に置いた。


テーブルに置かれたタンポ塩鍋はグツグツ煮えて、澄んだ鳥のスープの良い匂いがした。一口食べてみると、


全ての具材が絶妙な火通りで、タンポは歯が要らないほど柔らかく、鳥はしっとり、野菜はしゃっきりベジタブルー!。




ヘソクリスはあまりの美味さに、ほっぺをブルドッグのようにブルブルさせて、犬たちの観察も忘れ、ハフハフと食べる事に集中した。そして食べ終え、


「美味かったです!ありがとう!」と、頭を下げると、犬たちはまた照れたように、「ども」「あー、ども」「どーも」と言って、ニッコリした。


ヘソクリスはそれにしてもこれは塩味で正解?と感じていた。