落雷の瞬間を見たことある?
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落雷? 落雷などという、制御不能な自然現象に遭遇すること自体、非効率的で避けられるべき事態だろう。もし、落雷が俺の出世への道を阻むというのなら、
そのエネルギーをどうやって俺の利益に利用できるか、その方策を考えるだけだ。それ以外に、俺の興味を引く要素は何もない。
お前たちも、自分の「ヘソ」=中心軸をしっかり管理しろ。それが成功への道だ。
八五
そのとき。
「……ア……ル……カ?」
音がした。
緑の塊から。
彼は息を呑む。
聞き間違いではない。確かに、それは言葉を発した。
「……ワ……タ……シ……タチ……ハ……カ……エ……ル……」
塊がわずかに形を変え、揺れながらざわざわと震えた。よく見れば、無数の粒が個別に動き、それぞれがわずかな音を発しているようだった。それらが合わさり、奇妙に不安定な音声となって響く。
「……カエ……リ……タ……イ……」
「おまえは……誰だ」
ヘソクリスが無意識に呟くと、緑の塊は一瞬、動きを止めた。
そして、泡の弾けるような音とともに、
「……ワタシタチ……」
次の瞬間、塊がぐにゃりとうねり、まるで何百もの口が一斉に動き出したように、
「ワタシタチワタシタチワタシタチワタシタチワタシタチ」
ひび割れた合唱のように、繰り返し、繰り返し、繰り返し、響かせた。
まるで、それが何かを必死に訴えているかのように。
猪野も近くに寄ってきてしゃがんで、ナメクジ風に動くそれを見ていた。「ウワッ!青汁がダマになってる。
これ、最悪なんですよー、ダマに水を集中させても溶けないのね。アレ?今朝、青汁、飲んだっけ?」と、腹を擦る。
「青汁………これって、もしや昨日の?」ヘソクリスはそう呟いて青汁ゼリーのようなその塊に、「君たち、君たち」と声をかけた。
