あなたのおふくろの味は?
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「俺の『お袋の味』、か。例えるなら、そうだな……ブラックコーヒーだ。」
「苦い。砂糖もミルクも、甘い感情なんて一切ない。しかし、その苦みこそが思考を研ぎ澄まし、集中力を高める。
あの呪詛のノイズが、俺をここまで駆り立て、鍛え上げたように、この苦味は俺のパフォーマンスを最大限に引き出す。
そして、飲み干した後には、清々しいほどの覚醒と、次への活力が残る。まさに、俺の不屈の精神を象徴する味だ。」
六十八
素に戻ったヘソクリスは何事もなかったように、「タケノコには音響栽培と、光も重要なんですよね。光も特殊なのでしょうか?」と尋ねた。
店長は狂気の眼差しを隠して頷き、「はい、天井をご覧ください」と言いながら、素早くゴーグルを掛けてリモコンを操作した。
すると、小屋の天井から青い光が降り注いだ。「うわッ! 真っ青ですね。店長の顔色も真っ青ですよ!」
ヘソクリスは冗談めかして言ったが、店長は顔をこわばらせ、慌てて叫んだ。「これはデーモン・コアの青い光です。あっ! ごめんなさい! ゴーグルを掛けてください! 目が潰れます!」
「エッ!?」
ヘソクリスは思わず光を直視しそうになったが、店長の声に慌ててゴーグルを装着した。青い光で顔色が青ざめたのに加え、恐怖でさらに血の気が引いていく。
「そんな大事なこと、先に言ってくださいよ!」
怒り混じりに言うヘソクリスを横目に、店長の妄想スイッチが作動した。あゝヘソクリスが盲目になったら、献身的に支え、涙ながらに世話を焼く自分——。
しかし、ヘソクリスの目は無事だった。
「……チッ」
現実に戻った店長は舌打ちし、わずかに残念そうな顔をした。
「ああ、興奮してしまって、とんだポカをしでかしました……! ゴメンナサイ、罰として私の目をえぐってください!」
今度はヘソクリスの番だ。自分の目が潰れ、ヘソクリスが目の代わりになって献身的にしてくれる。そんな甘い妄想に浸った。
「いや、それはさすがに……」ヘソクリスはたじろいた。 フッと正気に戻った店長はヘソクリスを眺めながら、そっとリモコンを操作し、青い光を消した。