絶対に観る!
63歳くらいの人なら、『キャノンボール』でエンドロールを観ずに映画の話をすると馬鹿にされた経験あるかも。
本編も面白いけど、エンドロールがNG集になってて、そこまで観てないと「ちゃんと観てないね」って鼻で笑われた。あの頃の映画は今より高かった気がするし、みんな真剣に観てたんだよね。
くるくる🌀貧乏だったけど、他に娯楽がない時代だから、ひと月に何本も観てた。映画は娯楽だから、深く考えずに楽しんでたな。
だから、同年代と映画の話をするのはちょっと気が重い。圧が違うんだもの(笑)
今日も本編とは関係ありませんでした。
今日は最終回です!
二十七
二郎はこれまで、目の前にいる観客の反応ばかりを気にしていた。でも、見たくても見られない人たちがいることに、初めて気づかされた。
二郎は、夜風に吹かれながら、静かに決意を固め、それ以来、老人ホームや病院等でボランティアを始めた。
笑いに飢えている人たちは、二郎の芸を見て、大笑いした後、涙を流し、二郎の手を握って感謝した。
二郎の胸が温かくなる。かつての自分なら、ひねくれて「どうせ大して楽しくないんだろう」と考えた。けれど今は違う。無視され続けた日々を乗り越えた今、その瞬間の価値が痛いほどわかるようになっていた。
その頃、福の神と貧乏神は柿の木に腰掛けて、二郎を見守っていた。二郎が過去を乗り越える姿を、二人は黙って見つめていた。
貧乏神は呟いた。「変だわよー、三つ子の魂百までって言うわよねー それが今や、とんだ猫かぶり、二郎ったら、なんかに憑かれてるんじゃないのー。」
福の神は、「二郎は引き寄せ体質かしら?ンーン、この流れで憑いてるのはー。」と、言うと、貧乏神も声を合わせて、
「菩薩!」貧乏神は辺りを見回し、小声になって「大物ねー」と言って肩をすくめた。

福の神は微笑み、柿の実を指で弾いた。熟した果実がぽとりと地面に落ちる。
「ま、二郎は二郎なりにやっていくでしょ」
貧乏神はハッーとため息を吐いて、「そうだねー。触らぬ神に祟りなし、ってねー」
二人は笑って風に紛れるように姿を消した。駅前のベンチでは、二郎がまた新しい挑戦に思いを巡らせていた。
END
文責 くるくる🌀