最近売り出されたkobo Touchの不具合について、いろいろと騒がれているらしい。
ところで電子書籍というものはそんなに便利なものだろうか。
遡れば10年以上前に、私はPDAという機械を手に入れていた。
スケジュールもアドレスもメモ帳もネットも使えた。たしかエクセルやワードも使えたはず。
PDAに青空文庫などからデータをダウンロードすれば、どこでも電子書籍が読めた。
無料のアプリケーションも数多くあったので、半年くらいはかなり遊べた。
百冊ほどの本のデータを落としていたと思う。
けれど、そのほとんどはいらないんじゃないか?と途中で気付いた。
無料で読める名作は、そのほとんどはすでに読み終えていたし持ち歩く意味がなかった。
外に行くなら、文庫本一冊あればいい。
家に帰れば、そんな小さな画面じゃなくたって、大きなパソコンモニターでいくらでも読めるじゃないか。
寝る前にベッド読む用に使うほどウチは大きな家じゃない。
パソコンのある部屋にベッドもあるし、何よりベッドで読むと光の強さに目が痛む。
何でも使えるPDAは面白かったけれど、やはり専門にはかなわない。
小さな機械にデータだけ詰め込んで、その後まったくそのデータを活用しないのなら散らかった部屋と同じで、必要な時に必要なものを探すことができない。もし自炊するならスクラップのように残しておきたいところだけ切り張りしてデータ管理することが必要だろう。
保存しておいたデータがいつまで持つかという不安もある。
ほとんどの資料がネット検索でわかってしまうこの世において、ダウンロードして手元に置いておきたいと思うほどのものは、そんなに多くないのではないだろうか。
仕事で使うというのならば話は違ってくるけれど。
電子ブックの方が安く買えるというけれど、立ち読みならば本屋で無料でできるし、図書館で借りることもできる。手元に置いて何度も読み返したい本ならば、一目でわかる本棚に綺麗に並べてニマニマしながら眺めていたい。
そう思うのは、私が本屋で働いているからだろうか。
実際問題として、買った本が読み切れていないし、図書館で借りてる本もなかなか完読できずに返却期限がきたりする。友人から借りてる本も多数ある。
本が多くて読み切れない。
これ以上、安いという理由だけで電子ブックに手は出せない。
きっと手を出したら最後、買ったことを忘れて読まずに積まれていくデータがいつか容量を超えて、読まずに削除するかもしれない。その方が金の無駄だと思う。
目の前に積読タワー(まだ読んでない本の山)があれば、とりあえず買ったことだけは忘れずにいられるから。