私は現に何処へ居ても

 変に水中に居る気がしてならんのです

 此処は陸地

 上には大空

 けれども空は水面(みなも)で揺らめく

 全身が濡れて重い

 浮力が無い水の中

 私はみずからを見つめて

 俯向いて

 浮かぼう浮かぼうとこころみるのです

 でも出来なくて

 私はあまりにも活動音痴

 生活の晴れやかなメロディーが分らない

 だから鳥真似をして

 今度は天上見あげて口を開くも

 私には息継ぎが出来なくて

 浮力の無い水の中

 私は水を吸うことしか与えられていませんでした

 浮かぼうなどと

 歌おうなどと

 一丁前に人並になろうなどと

 馬鹿な錯乱を催したものよ

 ずっと此処に居たらいい

 これはなぐさめの無音独奏

 私には聞えているからいい

 私には聞えているからいい