1981年リリース
Gama Records Limited

日本では知る人ぞ知る(要はマイナーな)、イギリスのプログレッシブロックバンド、キャメルの1980年代初頭の作品です。

大体において、プログレって、何だか良くわからない物が多い(コラコラ)のですが、このアルバムも、知らない人にとっては『なんのこっちゃ』でしょうね。

タイトルは“ヌード”
なのにジャケットのアートワークは浮世絵調の富士山に、男性用スーツの形の箱(?)の脱け殻。

実はこのタイトルは、“裸”を意味している分けではありません。

この作品は、とある日本人男性にインスパイアされて作られたもので、“NUDE”は、彼の名前を捩ったものなんだそうです(あの名前をどう捩れば“NUDE”になるのか良く分かりませんが‥‥確かにNとDの音は入ってますけど)。

その日本人男性が経てきた事は、各曲のタイトルのいくつかから推測できます。
(日本語訳で書いてみます。拙い英語力なのでおかしくてもご勘弁を)

・徴兵され
・望郷
・捕らえられて
・帰還

つまり、軍人で、長く外地にいて、捕獲(保護?)され、日本に帰ってきた人。

実は、この作品のモデルになっているのは、終戦から実に29年後に日本に帰還した、元陸軍少尉 小野田寛朗その人です。
(だから何でオノダがヌードになるんだ)

小野田氏が帰国した当時、まだ私は幼かったですが、辛うじてニュースの記憶がありますね。ただ、戦争のなんたるかもまだ良く分かってなかった頃なので、なんで騒いでいるのかは理解できてなかったとは思いますが。

楽曲はプログレだけあって、爽やかなフォーク・ロックから、ブルージーな曲だったり、激しいのから穏やかなのまで盛りだくさんです。

さてさて、私が何でこのアルバムを入手したのかなんですが、別に小野田氏に興味があった分けでも、キャメルが好きだったんでもありません(なんか失礼かな)。

目的はただ1曲。

先ほど“捕らえられて”と訳した曲。
原題は“CAPTURED”(キャプチュード)と言います。

原題でピンと来た方、多分正解です。

1980年代終盤、リアルバウトを標榜し、それまでの物とは一線を画した激しい格闘技路線で一世を風靡したプロレス団体 U.W.F。
その中心人物だった前田日明の入場テーマとして使用された曲です。


実は私、長いこと勘違いしてたんですよね。
この“キャプチュード”は、前田日明の入場用に作られた曲だって。

と言うのも、前田のオリジナルの必殺技の名前が“キャプチュード”なんですね。
だからそれをイメージして作曲されたもんだとばかり思ってました。

ところが後に知ったんですが、実際は逆の話で、前田が自分の作った技の名前を考えているときに、入場に使っている曲のタイトルが、“捕らえる”って意味だと知って、捉えてから投げるその技にぴったりだと、技の名に拝借したんだとのこと。
なかなかに趣深い話なんですが‥‥前田さん、間違ってますよ。

“捕らえる”の場合、英語では“capture”になるはずですよね(多分)。
“captured”の場合は、“捕らえられる”になっちゃう(多分)から、技の掛け手が使うと微妙におかしなことになるんだな。
まあ、そんな細かいこと、どうでもいいっちゃ、いいんだけど。

でも、確かに入場にはもってこいのカッコいい曲です。

キャプチュード

しかし、何でこの曲が“捕らえられ”なのかは疑問の残るところで、その意味にそぐわないほどカッコいいような気が‥‥。

プログレのミュージシャンの考えることは良く判らんです、ハイ。

あ、もしかして私の英語の読解力が怪しいだけだったりして‥‥。
つきのわ妄想劇場  【Vega】

お気に入りのスプリングバンクのグラスを傾けていた水野麻子は、店の隅に置かれた七夕飾りを見ながらポツリと呟いた。

『織姫の気持ち、痛いほどわかるなぁ‥‥』

その呟きを耳にした北村亮二と高木理美とは、同じような、ややひきつった笑顔を浮かべ、こっそりと囁きあった。

『えらく芝居がかってませんか?』
『‥‥まあ、怒ってるよりはいいんじゃない?』

ここは、バー“Wild On The Street”。
亮二はここのバイトで、客の理美は亮二の大学のサークルの先輩。麻子はそのOGだ。

亮二と理美のひきつった笑顔にも気付かず、麻子のモノローグは続く。

『恋しい人と何万光年もの距離に引き離されて‥‥』
『あんたらはたかだか隣の県じゃねえか』

『年に一度の逢瀬しか叶わず‥‥』
『月に何度も行き来してるって兄貴言ってたな』

『顔を見るのも声を聴くのもその時以外は出来ないなんて‥‥』
『最近は仕事も落ち着いたから、電話も頻繁にしてるらし‥‥うわっぷ!』

亮二の入れる茶々に気分を害した麻子は、ノールックでおしぼりをぶつけた。

『いらん合いの手入れるんじゃないわよ!一日千秋って言葉知らないの?!恋する乙女にとっては、たとえ1週間でも1年に匹敵する思いなのよ!』
『乙女って年かよ‥‥あ、な、何でもないです』

地雷を踏みかける亮二。
麻子の目付きが鋭くなるのを見て、慌てて理美が宥める。

『で、でも良かったですね、前より会えるようになって。それに麻子先輩も以前より余裕あるように見えますよ。少しは慣れました?』

瞬間、麻子の表情が変わる。
先程までの芝居がかった物から一転し、素で途方にくれた顔を理美に向けた。
その、迷子の子供のような目に理美は焦る。

“やばっ、私が何か地雷踏んだ?”

『‥‥慣れたように見える?』
『ええっと、その、あの‥‥』
麻子に問われ、答に詰まる理美。

グラスに視線を移し、ポツリポツリと語り出す麻子。

『そうなんだよね、傍に居れなくて寂しいし、会えれば嬉しいのは変わらないんだけど、遠距離始まった頃みたいに、泣くほど辛いってのは減ったなぁ‥‥。やっぱり、こんなのもお互いに慣れていっちゃうのかな‥‥』

“この鉄の女が泣くのか?!”と驚愕した亮二だが、懸命にもその言葉は飲み込んだ。

麻子は続ける。

『最近、それが怖いんだぁ。慣れきって、傍に居ないのが当たり前になっちゃたらどうしたらいいんだろ』

どんどん声がか細くなる麻子。

めったに見ることのない麻子の姿に、珍しく亮二がフォローを入れる。

『大丈夫っすよ。兄貴かなりしつこいほうだし。それにあの無愛想男、基本的にモテないから浮気なんてしようったって無理だ‥‥ うわっぷ!』

再びノールックでおしぼりをくらう亮二。
『優一さんの悪口言うな!』

一瞬、亮二を睨むが、すぐにまた俯く麻子。

『‥‥違うの』

『え?違う?』
『何が?』
顔を見合わせる亮二と理美。

『優一さんが慣れちゃうのもいやだけど、それよりも私が慣れちゃうほうがもっと怖い。久しぶりに会っても、私がそんなに喜ばなくなったりしたら、優一さんがなんて思うか‥‥』

さらに深く俯く麻子。

『ええっと‥‥』
そんな事を怖れている時点で、心配は全くないんじゃなかろうかと思う理美。
それを麻子に伝えようと言葉を探す。

しかし、理美が口を開こうとする前に、店の扉が開いた。

『あぁ、やっぱりここにいたか』

かけられた声に3人が扉の方を向く。
そこにいたのは

『優一さん!』

麻子の恋人であり、亮二の兄、優一だった。

『先に麻子の部屋にいったんだけど留守だったから、もしかしてこっちかと思ったらやっぱりか』

弾かれるように椅子から飛び降りた麻子が優一に駆け寄る。

『えっ?なんで?どうして?えっ?えっ?』

『急な仕事でK県に行っててな。S大橋使ったから、帰りにちょっとだけでも顔見とこうかと思ってな』

答える優一に、噛みつくように麻子が質問をぶつける。

『えっ?ちょっとだけでもって、じゃあすぐ帰っちゃうの?あとどのくらいいれるの?』

『せいぜい3時間ぐらいかな』

『なんで先に連絡くれないの!』

『いや、驚かせようかと思って‥‥』

『時間が無いときにサプライズしようとするな!それがなきゃもう少し長く一緒にいれるのに!』

『いや、30分ぐらいしか変わらんぞ』

『その30分が勿体ない!凄く勿体ない!!ああっもう!こんなことしてる場合じゃない!優一さん食事は?』

『いや、まだだけど』

『車よね?じゃ、すぐ私の部屋に連れて帰って。ご飯作るから』

『おいおい、俺も少しくらいマスター達と話とか‥‥』

『そんなのゆっくり来れるときでいい。はい、さっさと車廻してきて!あ、亮二君お勘定お願い』

あわただしく精算を済ませると、二人は店を出ていった。

後には呆然とする理美と亮二。

『なんだったの、今の一幕』

『いや、滅茶苦茶とっちらかってましたね。あれが慣れるのを心配してた人なんすかね?』

『テンション急上昇してたもんね。喜ばなくなるどころか、前より反応激しいんじゃない?』

『俺、一人の人間があれほど沢山の表情を一遍にするの初めて見ましたよ』

『表情?』

『兄貴が居るのに驚いて、何でか疑問に思って、連絡無かったから怒って、時間も無くて焦って、すぐ別れなきゃいけないから悲しくて、でもそこに居るのが嬉しくて、喜怒哀楽まとめて出てましたよ。器用だな』

『多分、今は幸せな顔してるんじゃないかな?』

『とんだ織姫と彦星でしたね。人騒がせな』

『先輩と飲んでると、こう言うオチが多いなぁ』

『もう、まともに話聞くのやめませんか?』

『ふふっ、まあ良いじゃない。‥‥でも、どんな気持ちなんだろうな、離れて相手を想うのって』

理美のその言葉に、ちょっと考え込んだ亮二。
やがて、少し緊張ぎみに

『いや、なかなか当事者にならなきゃ判らんですよね。あ、でも、身近な人で考えてみたらどんなですかね?‥‥例えば‥‥例えばですよ、俺が何かの事情でですね、1年ほど休学することになったとします。俺と会うことが無くなったとしたら高木部長は‥‥』

『5分で忘れるわね』
にこやかに言い放つ理美。

『ああ、そうですか』
がっくりとうなだれる亮二。

“目の前にいるのに、滅茶苦茶距離を感じるなぁ‥‥こんな〈遠距離〉いやだ~!”


ー妄想終わりー


7月7日、ふと思い付いて書き出したネタですが‥‥七夕中には間に合いませんでした。






2016年6月22日リリース
ビクターエンタテインメント

本日発売になりました、ガチャリックスピン、メジャー第3弾シングルです。

眠気覚まし飲料のメガシャキのCMで使われてます。
正直、CMで使われている『シャキシャキして!』のフレーズを繰り返すサビの部分
が、あまりにタイアップ臭(笑)が強くて、ガチャピンらしさがスポイルされてるんじゃないかと心配しておりましたが、1曲通して聴くと、しっかりとガチャピン得意の、聴く人を鼓舞する強い曲に仕上がっておりました。
タイアップ臭の気になった『シャキシャキして』のフレーズも、曲の流れで聴くと、ちゃんと素直に聴けました(笑)。

さて、先ほど“鼓舞”と書きましたが、ロック系のアーティストには、よく“応援歌”的な曲ってありますよね。
まあ、ガチャピンの曲にも(特に楽器隊が現在のメンバーになった後は)多いのですが、私はこれを応援歌とは言いたくない。

彼女達は、決して『頑張れ』と励ましてる分けではないのです(まあ、私の勝手な思い込みですが)。

ガチャピンは、もっと強く、『立ち止まるな!』『走れ!』『立ち向かえ!』『戦え!』と、叱咤激励(まあ、これも励ましなんですが‥‥判るかなぁ、このニュアンスの違い)してくるのです。

で、この手の要素って、時に鼻につくんですが、ガチャピンの曲では、少なくとも私はクサいとは感じませんです。

多分それは、彼女達、聴き手の前に先ず自分達を鼓舞しているからなんだろうな。

インディーズ初期のガチャピンの曲は、肉食女子の恋愛を描いた物が多かったんですが、それが変化したのは、とんでもないトラブルが契機になってるんです。

実は、初期の頃には専任のボーカルがきたのですが、そのボーカルが、ツアー中に急病から離脱、そして脱退と言う大事件が起きてます。
普通なら、バンドの存続すら危ぶまれる事態ですが、ガチャピンはツアーを続行します。
なんと、いろんな女性ボーカリストにサポートしてもらって。
‥‥普通、バンドの中心たるボーカルがサポートって、あまり無いですよね。

そして、体制を整え直し、新たなメンバーも向かえ、今のガチャピンになったわけです(他にも、この人達、やたらとドラマがある)。

そんな、彼女達自身を鼓舞してるんだろうなと思える曲が、山ほどあります。

だからなのか、ガチャピンの“叱咤激励”歌、やたらと前向きで真っ直ぐです。時に悲壮感を覚えるほど前向き。

この“シャキシャキして!!”も、そんな1曲でした。

ライブで盛り上がるんだろうな~!

さて、そんな“シャキシャキして!!”のカップリング曲のタイトルは

“アルブスの少女”

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥。

昭和のダジャレだよ‥‥‥‥。

ま、まあ、こんな、真っ直ぐなひねくれ方(矛盾してるがな)も魅力ではあります。

さて、“シャキシャキして!!”のPV(ショートver)が、YouTubeで観れますが、曲中に画像の縦横が何度も入れ替わり、それに合わせて、スマホを縦横と持ち替えながら観なきゃいけないと言う、なんともガチャピンらしい仕掛けになっております(中年にはつらい)。
よろしければ挑戦してみて下さい。
固定して観れるverもあります。

シャキシャキして!! 縦横変化ver
シャキシャキして!! 画面固定ver

しかし、今回のCDのオマケDVDには、“アルブスの少女”のPVは入ってるのに、“シャキシャキして!!”のPVが入ってないのは何故なんだろう?