朝帰りの弟をなんとなく待っていました。

 

いつもは彼が、僕が仕事から帰るまでなんとなく起きてくれていて、僕が居間に来ると何も言わずに寝床についてしまいます。

料理人の弟は、大抵僕の分の飯を作ってくれていて、そのおかげで僕は真夜中にカップ麺を啜らずに済んでいました。

…本当に、ありがたいことだ。

 

早朝に帰って来るという弟を出迎えるのに、幾日かぶりの早起きを試みたということです。

朝6時にアラームをセットしたものの、そのおよそ2時間前、早朝4時に僕は目が冴えていました。

二度寝もできず、だんだんと部屋の中が明るくなっていくのを感じ、布団から這い出て、ペタペタと水を飲みに向かい、まだ少し冷えるのでストーブを点け、玄関のドアが開く音を聞きました。

 

よう。

 

軽く挨拶を交わし、弟は直ぐにシャワーを浴びに行ったので、僕はゴミ袋を二つ持って外へ出ました。

その時ふと、まだ弱い陽の光と、ひんやりとした空気に絡まれるのを、とても心地いいと感じた。

…当たり前に朝を迎えているというのに、いつぶりだろう、こんなふうに思うのは。

この微妙な時間帯に、人ひとり見かけないこの状況に、以前僕が出くわしたのは、本当に遠い昔のように思えた。

そんなこと、嘘でしかないのにね。

 

金網のダストボックスにゴミ玉を押し込んで、来た道を帰る時、後ろで自転車を漕ぐ音を聞いた。

家に入り際、なんとなく振り返り、痩せたおじいさんの背中が過ぎ去っていくのを僕は見ていました。

 

 

新聞を片手に深く椅子に座り、部屋の中でコントラストが徐々に上がっていくのを気にしながら、活字を目に与えて気を満たすことが、僕の幸福の一つです。

登校中の小学生の子供達による活気溢れる声や足音が、時折耳に入るのもまた幸福の一つ、希望の一つと、僕は言いたい。

小さい子供も、大人気ない僕も、人は皆元気でなくちゃなりません。

 

今こうして文を書きながら、何か温かいものが飲みたい、飲もうと思い至り、ポットのお湯を沸かしている。

なんて事のないありふれた今朝、僕は生きる気力を取り戻そうとしてました。

否、きっと取り戻したと思いたい。

これからどんどん昼になれば、僕はまた気が滅入り出して、大好物のダークで奇妙な世界観に思いを馳せるだろうから。

 

だから小さい子供に言い聞かせるように、今一度僕に早寝早起きの習慣をねじ込みましょう。

4時間睡眠が精一杯の人間だって、早朝の朝日を浴びれば気持ちも脳みその複雑なシワも、多分限りなく曖昧だけど、そんなに遠くはない少し前の状態にリセットできるだろうから。

 

 

今日朝早くから、僕は非常に平凡で一般的で取るに足らないいい思いができたもんだから、もしかしたら明日でさえも、気持ちも体も素敵な方向に考えて行けそうなんです。

 

 

 

 

2019.03.14 『……。案外、朝早く起きて日の光を浴びるだかで、人って元気になるんだなぁって。……』