私には小さい頃から安心して身を委ねられる居場所なんてなかったよな
そんなことを思い
悲しく惨めな気持ちになった



急いで荷物を整理して
夕方旦那が仕事から帰ってくるのを待った

「今すぐ家に帰りたい」と私
当然旦那は
「なんでや?」と聞いてきたけど

昼間のゴキブリ事件のことは話せなかった


義母のしたことを旦那に話しても決して良い気分はしないだろうし

気持ちよく私や長男を迎えてくれた義父にも聞かれたくない


実の母に帰ってくるなと言われ

頼っていった義母にもひどいことをされ

私はみんなに嫌われている…
そんな現実を旦那には知られたくなかった


「とにかく今すぐ帰りたい!」
「明日でもいいやないか」
そういう旦那に
私はしつこく食い下がり
とうとう旦那が折れる形で了承してくれた


荷物をまとめて降りていった玄関先で
1番不思議そうな顔していたのは義父
義母はとにかく終始無表情…

「わがまま言ってすいません
どうか気を悪くしないでください」
気を悪くして帰ろうとしているのは私なのに
ちょっと笑える


この後
このゴキブリ事件の事は
義母と私の間ではタブーとなり

お互い触れることもなく
パンドラの箱の中に深く深く仕舞い込まれた

その間もずっと私は
どうして義母はあの時
あんなことをしたのだろう

この先長く長く続くであろう
嫁姑関係を考えたなら私には絶対できない

私たちの世話をするのが辛かったのなら
「もう無理だ」と旦那を通じて言ってくれればそれだけで済んだことなのに

どうしてまだ始まったばかりの嫁姑の中をめちゃくちゃにするようなことをする必要があったのだろうか

どうしても義母の答えが聞きたかった


だから、
何十年も閉じていたパンドラの箱を開いたのは私
「長男が生まれてお世話になったとき
お義母さん私にひどいことしましたよね」と
義母に問いかける日が来るのだけれど

それは、もっともっと先の話になる