妊娠後期になると妊娠中毒症が悪化して
体がひどくむくんできた
病院で診察を受けると

おなかの中の赤ちゃんにうまく酸素が届いていないとわかり
入院することになった

自分のせいで赤ちゃんが苦しい思いをしている
すごくショックだった

入院の手続きをして診察室を出ると
前の入院の時同室だった双子ちゃんママ(彼女も早産治療)が
「赤ちゃん元気?」と笑顔で声をかけてきた


私も笑顔で答えなくちゃ…
わかってはいるけど
「赤ちゃん元気?」との言葉にこらえていた涙が一気にあふれ出してしまった

困ったように立ちすくむ双子ちゃんママ

見かねた旦那が私の手を取って
入院するための病室に引っ張っていった

びっくりしただろうな
他の人もいっぱいいたし
その後、居心地悪かっただろうな

今度会ったときちゃんと理由を説明して謝ろうと思っていたけど
結局その後彼女と会う事はなかったけど
元気な双子ちゃんベイビーが生まれたと風の噂て聞くことができた




その時の入院で
結婚する前まで勤めていた会社の同僚と病棟で偶然あった

同期入社で暖かくてお姉さん的な存在
彼女の新婚の家に遊びにいかせてもらったこともあった


「お久しぶり」と声をかけた私に
彼女はとても言葉少なだった

どうやら不妊治療で入院しているらしい

流産しそうになったり
妊娠中毒症がひどくなって入院したとは言えそんな事情を知らない彼女に

臨月の私はどう映ったのだろう

それは彼女のよそよそしい態度から察することができた


妊娠して出産するのも大変だけど
妊娠、出産できないってこともまた大変なこと

女は  (ごう)  が深いって聞いたことがあるけど
その通りだと思う

命を生み出す女性に生まれて
どんな通過点を通るかはその人によって違うけどどの道を通っても決して楽なことはない



治療の成果もあって
妊娠中毒症も軽くなり
出産までの時間を自宅で過ごすことにした

「お先に退院するね」
それだけの言葉を添えて

彼女に真っ赤なりんご🍎を手渡した


その後双子ちゃんママと同じように
彼女に会う事はなかったけど

もし、会うことができたら
女ってホント、いろいろ大変だよね…
なんて愚痴りあいたいな