今まで体験したことのない
強い疲労感を感で

わたしはまた深い眠りに落ちた



夜中に強い吐き気で目が覚めた

吐きそうになり
思わず体をくねらせた
そのせいだったのだろう


術後の高熱で
夜中にはよくわからなかったけど

朝、目が覚めたら
敷布団が血の海になっていた


慌てて担当の先生がやってきた
(昨日、私に釘を打ち付けた先生だ)


頭が痛いです
弱々しく訴えると

そうやろなぁ
難しそうな顔した

なぜなら、昨日手術した傷から
大量出血していたから

付き添っていた母が
輸血の同意書にサインすると

すぐに輸血が用意されたけど
とにかく体中の
血がほとんど出てしまっていたので

血管を探してもなかなか見つからない

先生が
悪いけど血管が見つからない時は
髪の毛を剃って頭から
輸血の針を入れてもいいかな
と聞かれた

私はもう意識が朦朧としていたので
はい
そう答えるのがやっと
その後の記憶はない


次に目が覚めた時は
もう夕方だった


ありがたいことに
足の甲から
輸血をすることができたので
坊主にはならなくてすんだ(笑



輸血を受けた次の日
担当医が夜おそく(23時ごろ)やってきた
遅くにごめんな
さっきまで手術してたんやけど
容体が気になったから
覗きにきたんや

きっと大変な手術だったんだろうな
疲れきった先生の顔を見て

先生も大変ですね
大丈夫ですか    と言ったら

あはは、笑って
人の心配をできるようになったんだから
もう大丈夫やなと
笑顔で帰っていった


その後
自分でトイレに行けるようになった時
1人で歩いていたら

輸血の時のことを知っていた
看護師さんが駆け寄ってきて

嘘みたい
もうトイレに行けるようになったの
一時はどうなることかと
心配したんだよ
ほんとに元気になってよかった
そう言って喜んでくれた

その時改めて
自分大変な状態だったんだなと痛感した


後で、聞いた話では
椎間板から飛び出していたヘルニアは

硬く石のようになっていたそう
(本来はセリーのようなものらしい)

だから剥がすのに時間がかかって
長時間の
難しい手術になってしまったのだと
(時間がかかったから手術中に
目が覚めちゃったのかな(苦笑)



21歳と言う若さもあって
その後私はぐんぐん回復し
2週間ほどで退院できた



それでも退院後は
体が思うように動かず
痛みやしびれもなかなか治らず
ぐずぐずしていたけど

1年後にやっと大手スーパーの
洋服売り場に販売員として
勤めることができた


とても大変な出来事だったけど
今から思えば運良く
Aさんが言うところの有名で良い先生に
手術してもらったおかげで


そのあと結婚できたし
子供も2人産むこともできた


本当に、
先生には足を向けて寝られないな
今でも心からそう思っている