僕たちは、ホワイト・イーグルの待つ

ホーガンへと向かった。

行く途中、カイルとフィアンセにも会った。

でも、思ったより普通に話せたし、

と、言うより来た時に感じた違和感みたいなものは

もう感じられなかった。

本当に、彼らが幸せになってくれたらいいな。とまで

思えた。

そんな風に感じてる自分が妙におかしかった。

ホーガンに着くとホワイト・イーグルが中で待ってた。

そして、僕たちが中に入って行くと

にこやかに、静かに微笑んだ。

「さっ、ここへ座れ。」

ホワイト・イーグルに言われるまま

僕らは、彼の傍に行って座った。

「で、山はどうだった?」

「すっごく楽しかったよ。星もすごく綺麗だったし。

俺たち怪談話とかもしたんだぜ。」

タケルは、いつものハイテンションで

まくし立てるように何をしたとか、話をした。

それを、ホワイト・イーグルはただにこやかに

聞いていた。

「そうか、そうか。

それは、楽しそうで何よりだったな。

で、冬馬はどうだったんだ?」

「冬馬は、ずっと泣いてたよ。」と、

健が直ぐに言った。

「健、黙れよ。

ずっとじゃないぞ。」

「えぇ、ずっとだよ。」

「うるさいよ。」

「まぁ、まぁ。お前たち

ホワイト・イーグルの前だろ。」

「よい、よい。

そうか、冬馬は一杯泣いたか?

で、答えは見つかったか?」

「僕は、別にず~っと泣いてたわけじゃないですよ。」

と、ちょっとすねてみた。

「ただ、答えが見つかったかどうかは

わかりませんが。

なぜ、ここに来たのかはなんとなく

腑に落ちた気はします。

いかに、自分の存在が

この母なる偉大な大地の中にいて

本当にちっぽけなもので

世界は、本当に広いなぁって

つくづく感じました。」

「そうか、そうか?

で、真実は見たのかな?」

「それも、よくわかりません。

でも、ヘンリーにはそう言われましたが。

今でも、自分の見たものは単なる夢で

夢にしては、妙にリアルだったとしか

言いようがないのですが。」

「まっ、そんなようなものさ。

後になれば、また見えてくるものも

あるからな。

でも、ひとつだけ言っておく。

我々は、魂の家族なんだ。

どんなに遠く離れていても

いつも一緒だ。」

その言葉を聞いた時、僕はまた泣きそうになったのを

今回は、我慢した。笑

「冬馬もタケルも

また、いつでも帰っておいで。

いつでも、歓迎するからね。」

「えっ、本当?

いつでも来ていいのか?じっちゃん」

「あぁ、いつでも帰っておいで。」

「健。。。おまえ。。。。

本当に能天気なやつだ。」

「まぁ、まぁ、そう言ってやるなよ。

タケルだって今回の旅行で

色々感じるものはあっただろうし、

過去世では、確かにじいちゃんだったんだから。」

「よくわからないけど、俺、腹減ったよ。」

「健、お前なぁ、本当に無神経なやつだなぁ。」

「しょうがないじゃないか、本当なんだから。」

「良い、良い。

昼飯の用意は、そろそろ出来るはずだろうしな。」

そう言うと、昼飯を運んできてる人がいて

僕たちは、みんなで昼食を取った。

僕は、昼食を取りながら

客観的にホワイト・イーグル、ヘンリー、健を

見ていた。

(本当に、過去で僕はこの人たちと

いたんだろうか?)

と、頭の中でよぎった。

しかし、もし、それが本当であったとしても、

ヘンリーの言葉じゃないけど、

過去は過去。

何も変えれない。と、言う事か?

だったら、前に進むだけしかできないよな?って

考えてみたりもした。

昼食を食べた後、

ホワイト・イーグルが今のナバホの在り方を

話してくれた。

今は、聖地に戻って来れたけれど

それでも、未だにアル中になる人たちもいたり

この村を出て、ナバホ族としてではなくて

会社に溶け込んで行く人たちもいる。

時が流れ、時代が変わっても

変わらないものもあるけれど

時の流れに逆らえないものもあるのだと

言う事を。

若い人たちは、外界に憧れて出て行くが

それでも、風当たりが強くて

戻ってくる人たちも少なくはないと言う。

伝統を残していくためには

やはり、大人がきちんと自分たちの伝統を

伝えていかなければいけない。

それが、今の問題でもあるのだといった。

僕は、もし、あの夢が事実であったとしたら

今の状況を作り上げたのは僕らであり、

それを食い止めることができなかった

自分がいたのが、

とても悔しくて、情けなかった。

「冬馬、これはお前のせいではない。

物事は、全て意味があって

なるようになっていくのだから。

お前は、お前の今の人生を

しっかりと生きなさい。」

と、ホワイト・イーグルは

僕が何を考えているか

わかっているかのように

そう言った。

その後も、しばらく色々はなした。

「さっ、そろそろ俺たちの今の家に向かって

帰ろうぜ。」と、ヘンリーが言った。

タケルは、まだここにいたいようで

なんとか明日まで残れないか、

一生懸命に納得させようとしたが、

却下された。

僕自身は、ここの地がとっても大好きになったし

色々な影響も受けたし、

何といってもホワイト・イーグルに会えたこと

そして、夢の意味がわかったことが嬉しかったけど

今は、ちょっと色々ありすぎて

早く、自分の家に戻りたいなって言うのが

本音だった。

僕たちは、荷物を車に詰めると

ロサンジェルスに向かって走り出した。

帰る前に、ホワイト・イーグルが

「どこにいても、何をしていても

我々は、つながっている。

魂の家族だから。

今度、また生まれ変わったとしても

いつでも帰っておいで、歓迎するよ。」と

言って、ハグをしてくれた。

カイルは、彼女に挨拶をすると

僕らと合流した。

僕らは、車の中でまた色々はなした。

よく、話すことがあるなと言うぐらい。笑

ロサンジェルスのヘンリーの家に着いたのは

もう、夜中過ぎていた。

僕たちは、疲れきってベッドへとなだれ込んだ。

そして、僕はまた夢を見た。

その夢は、赤土の山に夕日が黄金色に

輝いて、みんなで馬に乗ってかけている夢だった。

僕は、とっても誇らしげな勇士と言う面持ちでかけていた。

とても、晴れ晴れしかった。

それから、数日後僕らは日本へと帰った。

帰った後、流石に時差ボケなのか

疲れたのか、ぼ~っとする日が

1週間ぐらい続いたけれど

普段の自分の生活に戻った。

健とヘンリーは相変わらず、

時差はないのかと、言いたくなるぐらい

帰って来てからもハイテンションで、

僕の家に来ては騒いでいった。

今回の旅行のおかげで僕らはもっと

親近感を感じるようになった。

僕は帰って来てから、ナバホ族について調べた。

「Long Walk」がどんな悲惨な出来事だったtのか?

今の状況とか、

で、僕は、僕の出来ることで彼らに何か

貢献できることがあるのではと考えている。

と言う事でとりあえず、来年の夏僕はきっとまた

あの赤土の大地に立っているだろう。

終わり