稲の穂ダイニング-kakinoki


朝の散歩中

対岸の柿木の色鮮やかさに 目を奪われる

人知れず 咲くべき時に 花を咲かせ

実るべき時に たわわな実をつける。

咲くなら今 実るなら今

誰がつたえるのかな?

誰が教えるのかな?

ひざしの強さ?

樹皮に触れる風?

そして

ふと枝の先に目をやる

枝が、まるで川の水面に向かって手を伸ばしているようだ。

そう

水もそうだ

川は流れ合流し、大海に流れつくもの

地表に深くしみこみ 地下に漂うもの 沁みだして湧水となるもの

微細な粒となって日の光に招かれて 天の昇り

雲になって 風と共に世界を旅し

やがて雨になって落ちてくるもの

生きているものの喉を潤し やがてその体から流れ出て

また旅をする

死んでいるものからも  人工のものからも その内に入り外に触れ 

また流れ出る

木は、じっと立ち続けながら 雨や地下水に触れ 

そんな旅物語を聴いているのかもしれない



では
私はどう?

上水道 パルプ  蛇口  そしてやってきた水と出会い

手に触れ

喉を潤し

沐浴する

そして水は下水へと流れ出て

あるものは、川へ

またあるものは、再処理されて私の元にやってくる

キレイにするために

不純物を取り除かれた塩素付のお水


私のところに来る水は、いろんな世界の旅を伝えられるのかな



稲の穂ダイニング-ooakubi
「あの~、空想から覚めて、はやく僕のお散歩つづけてね」