おともだちの薦めで見た映画

 

「リリーのすべて」

 

良かった

 

映像が綺麗

全てが絵画のような雰囲気

 

景色

家具

調度品

 

服装

 

などなど

 

高級感が漂い

引き込まれる

 

トランスジェンダーの話なのだが

夫婦の愛と絆の話でもあった

 

時代はかなり前のことで

今のように大声では言えない時代

 

一組の絵描きの夫婦

 

妻が夫にモデルをたのむ

リリーと名付け女装をしてもらう

 

そこから夫が秘めていた気持ちが

どんどん吹き出す

 

物語が進むうちに

夫アイナーは子供のころからそれを意識していたが

閉じ込めていたことがうかがえた

 

夫婦として暮らしていた時は

自分の中の感情を抑え込んで

生まれて来た性で生きてきた

 

夫を愛する妻は無意識に夫の中にあるものを見ていたのかもしれない

 

心は女性であるのだが体は男性

中身とうつわの違いに苦しむ

 

一旦自覚したものを抑える苦しみにさいなまれる夫

 

リリーを目覚めさせて妻は夫を失っていく

 

愛する夫は夫としてではなくリリーとして生きることを決断する

 

それでも妻は愛する人を支える

 

男とか女とかを乗り越えた愛

 

男と女として暮らしてきた日々は失われて

そこにいるのはかつて男性として愛した夫

 

複雑な愛 苦悩する妻の心情も描かれていて

 

自分の心に素直に生きようとするリリーの決断

 

昔なので手術をすることも命がけ

今でもそうかもしれないが

医療技術の進んでいない時代のお話

 

男性器を切除して

女性になる手術をする

 

その間に書いたリリーの日記を元に出版された本

それを映画化した

 

実話なので胸を打つものがある

 

女性になる手術が終わってから

容体が回復しないまま亡くなってしまったのですが

 

リリーは幸せそうでした

ついに女性になれたという喜びは感じました

 

欲をいえばもっと女性として生きる時間を与えてほしかったなと

思った

 

しかし現実は残酷で亡くなってしまった

 

ラストはリリーの生まれ育った町に

妻とリリーの幼馴染が行き

リリーの描いた景色を見る

 

そこで妻がリリーにプレゼントしていた

スカーフが空高く舞いあがっていく

 

リリーが生まれ故郷に戻ったのかと思えた

 

故郷を出たいと思っていたリリーが

女性になって故郷に戻ったのかなと思い

泣けてしまった

 

中身と見かけが違うことの

苦しみ

 

今では女装をした男性や

性転換した人がテレビなどに多く出る時代

 

精神分裂と思われていた時代から

理解される時代になった

 

本当は自分はなんだろうと苦悩する

いつも違和感を持って

それを抑え込んで生きる息苦しさ

想像でしか考えられないけど少しわかる

 

これで良いと思えない苦しみ

 

たとえば小さなことでも

しっくりこないことを突き詰め

それが解決すると心は安定する

解決できる小さな悩みや違和感

 

自分ではどうしようもないことに違和感を感じて生きることの苦しさ

 

いかばかりだろうと思う

 

リリーは美しかった

美しい男性

許されない時代のお話

 

勇気を持って自分に向き合い行動したリリーは

強いと思う

 

夫でなくなった夫を愛し続ける妻

 

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圧倒的な美しい映像で描かれていた物語は

感動的だった

 

良い映画を教えて頂いたことに感謝です