ちょっと昔の話しになりますが、
2000年から思うところあって中医学を学びに
中国に足しげく通い始めました。
最初にご縁があって推拿の教えを頂いた師匠は、
広東省の経済特別区である深圳という街に居ました。
今ではアジアのシリコンバレーとして成長し、
未来都市と言われている深圳ですが、
当時は人類史上比類無いスピードで発展している真っ最中。
街のあちらこちらで高層ビルが建設中、
1日毎に1階ずつビルが出来上がっていく様が
深圳マジックと呼ばれ、
世界中に存在する大型クレーン車の2割が
深圳に集まっていると言われていました。
偽ブランド品、拳銃、麻薬の生産がアジア1位の街。
市場経済へ我先に参加しようと道には露店が並び、
深夜の2時過ぎまで屋台がひしめき合うように営業し、
白タクや人力車が街中を徘徊し、
飲食店の強引な呼び込みに腕を引っ張られ、
富と貧しさ、善と悪、陽と陰などが
混沌と混ざり合いながらもエネルギーに満ち溢れた
カオスの様な街でした。
初めて子供の物乞いを見たのもこの時でした。
留学していた学校の教務部長である張老師の
「自分は文化大革命で全てを失い、
底辺の生活を送っていた。
ゼロから新たにスタートができる深圳に
すごく魅力を感じて移り住んで来たんだよ。
今は人生がプラスに転じている。」
という言葉が強烈な印象として残っています。
2000年の深圳の一人あたりのGDPは約5,000ドル、
対して香港は約25,000ドル、なんと5倍近い開きでした。
香港の繁華街である九龍から羅湖の
イミグレーションまで列車で1時間弱、
香港人は深圳市内であれば日帰りの場合
ビザが必要ありません。
これだけの経済格差があると1時間列車に乗って
隣の街に行けば物価が半分以下。
香港の若者の休日は、深圳に行って買い物をし、
美味しい料理を食べて、マッサージを受けて帰ってくる。
全て香港の半額以下。
なんと魅力的な街でしょうか。
しかし、急激な発展をとげる深圳の
一人あたりのGDPは2013年に22,000ドルと
台湾を抜き、香港にも迫っています。
一昨年に香港経由で深圳に行った際には、
為替の問題もありますが物価が逆転している感覚を受けました。
その後も、深圳以外の中国の都市、バンコク、
ホーチミン、など発展著しい都市に行きましたが、
あの時の深圳ほどのエネルギーを感じる事はできません。
まさに、あの時、あの場所で、
人間が創り出し得る爆発的なあのエネルギーに
触れられた事は貴重な経験値となりました。