石田順裕 in LA 〜ナチュラルヘビー石田順裕の完成!最強ボクサーへの道〜 | @TUG_man石田順裕応援ブログ

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世界リアルボクシングドキュメント

石田順裕


【石田順裕、恒例のロスキャンプ】
石田順裕inロサンゼルス
「まあ、夜行バスみたいなもんや」

3月17日、石田順裕は関西国際空港の国際線ターミナルから飛行機へと乗り込んだ。行き先はロサンゼルス。関空からロスへの直行便はないため、ソウルで一度乗り継いで、およそ14時間前後もの長旅となる。そんな長時間のフライトも、世界中を転戦しているうちに慣れっこになってしまった。

今では試合前と言えば恒例となったロスキャンプを、すこし振り返ってみよう。そこには石田順裕の強さの原点がある。

かつて石田順裕が、アメリカを拠点に本格的なキャンプを始めたのは2003年の頃だ。世界のボクシングを肌で感じるため、海を渡った。今よりもずっと海外のボクシングシーンがなじみ薄かった時代だ。
→過去記事《海外で戦うボクサー!石田順裕 前編》

スーパーウェルター級ともなると、海外で人気のある選手がべルトを独占していて、遠く手が届かない存在として認識されていた。日本でどんな活躍を見せようと、王者に対戦を呼びかけようと、世界戦のチャンスが訪れるなんて全く気配すらなかった。

もっと言えば、もし仮に世界戦が実現しようとも、実力がかけ離れすぎてとても勝てる相手ではない、そう考えられていた。

「日本人ボクサーが中量級で世界を獲ろうなんて、そもそも無理な話なのかも知れない」

渡米した張本人、石田自身ですら、当時の雑誌のインタビューで世界までのはるか遠い道のり、絶望的な状況にこう吐露していたほどだ。住んでいる世界が違う。

石田順裕2
この頃のボクシングファンに〝いずれラスベガスのリングに一人の日本人ファイターがやって来る。メインイベントを張り、その活躍がニューヨークタイムズ誌に掲載され、ロシアやモナコでもミドル世界戦を戦うことになる〟なんて言ったら誰が信じるだろうか。現実には起こりえない夢物語だ。

“スパーリングしてくれだと?お前にボクシングができるのか?6ラウンドはやめておけ3ラウンドなら相手をしてやろう”

突然ロスのジムに現れた東洋人がスパーリングをお願いすると、名も知らぬファイターに無下に断られる。これが当初の石田順裕に対する本場の態度だった。

しかしボクシングは拳で会話するものだ。実力を認めさせると、周囲の対応も日に日に変わっていった。

後に石田順裕はスーパーウェルター級で暫定世界王者に就き、べガスを湧かせるメインエベンターへと変貌を遂げる事になる。世界に壁を感じたあのとき、もしそのまま国内にこもり、練習相手すら満足にいない環境をただ呪うだけでは、到底辿り着けなかった境地であろう。

アステカジム
石田は単身アメリカへと乗り込む事で、自身の実力を飛躍的に伸ばす事に成功した。そこには何のお膳立ても後ろ盾も存在しなかった。自らの意志で、拳でチャンスを掴んだのだ。


【不可能を可能にする男、石田順裕の強さ】
石田順裕ヘビー級へ挑戦
以来石田は、大切な試合前には幾度となくロスでキャンプを張ってきた。試合が決まってなくとも、チャンスを伺うためだけにわざわざ渡米し、黙々とトレーニングの日々を送ったこともある。肉体的にも精神的にも常にギリギリ限界の状態で戦って来た。

試合が決まって、トレーニングに集中している時もあったが、一番つらかったのは試合が決まっていないときだった。

話が舞い込んで来ては流れ、その度に一喜一憂してはただ時間だけが流れていく。日本に家族を残し、遠く離れたロスで独り戦闘のピーク状態を保ち続ける。並大抵の精神力ではない。

「ボクシングに一番必要な要素はハートやと思います。もちろん技術的な事もいろいろあるんですけど、そもそもそれを支える気持ちがないと、何にもならないので。逆に強いハートさえあったら、強くもなるし、巧くもなっていきますよ」

とあるトークショーで〝ボクシングに一番必要なのは何か?〟の問いに石田順裕が答えたものだ。

アメリカのリングには、腕に自信のあるボクサーが世界中から集まってくる。技術があるとか、パンチが強いとか、実績があるとか、特に物珍しくはない。そんな天才ボクサーの吹きだまりのような本場のリングでは、外国人ボクサーの評価はよりいっそう厳しいものになる。

そこから頭一つ抜け出すには、リング上でタフであることはもちろん、精神的にタフであることこそ最も求められる才能だ。

ラスベガスの試合でセコンドに着いたこともある本田秀伸氏は、石田順裕の強さを、また別の角度からこう表現した。

石田順裕と本田秀伸
〝石田順裕はボクシングと向き合っている時間が圧倒的に長い。それはもう他の選手とは比べ物にならないくらい長い。本当にずっとボクシングの事を考えているんです。それが石田順裕の強さ、世界で通用する秘密だと思います〟

つまり、世界の壁を打ち破るのにどうしたら良いか考えて行動する、というプロセスそのものが石田の飛び抜けた才能なのだという。例えば、まだ海外でトレーニングをする、という事自体に前例がなかった時代に、自らロス在住のトレーナーの連絡先を調べ上げ、アポイントを取り、直談判し承諾を得て、単身渡米しトレーニングを実現してしまう。

普通は思いつかないし、思いついてもまず行動に移せない。石田はそこが違う。アイデアが浮かぶまで延々と考え続け、目的に直結する答えを見いだすと、それがどんなに困難な道であっても突き進み、現実に成し遂げてしまう。
その天才的なひらめきと、大胆な行動力こそが石田順裕の強さなのだ。

そしてこれは戦い方についても言える。石田順裕を知るトレーナー陣営に同様に石田の強さの秘密について聞くと、

〝ものすごく考えてボクシングをしている。こうした方がいいんじゃないですか?みたいなアドバイスをすると、そうするとこうなって、こうこうこうだから、こうしているんです。と全部分かった上で、明確な考えを出して選択しているんですよね〟

とみな口を揃えたように答えていた。試合のあらゆる局面を想定し、分析し、勝つためのスタイルを選択する。しかもそれが適地であれば、自らが置かれている立場さえも見越して戦術を練っていくのだ。

「国内では、さばく試合をしていたんですが、海外で戦うようになってから前に出て打ち合うようにしました。海外の試合ではファイトしないとお客さんも集まらないし、勝っても次から使ってもらえなくなります」

アップセット・オブ・ジ・イヤー
ISHIDAの名を一躍有名にしたカークランド戦も、ファイトすることで得た劇的なKO勝利だった。もしこの試合を、駆け引きで競り勝つポイントゲームに引きづり来んでいたら、勝っている試合でも負けにされていただろう。

そしてその勇敢なスタイルは認められ、次々と世界のビッグネームから声がかかり続けることにも繋がったのだ。


【石田順裕、リアルヘビーと実践スパー】
石田順裕LAスパーリング
藤本京太郎との一戦を前に、約一年ぶりに訪れたロサンゼルスのボクシングジム。石田順裕、今度はリアルヘビー級とスパーをするためにやって来た。

聞けば知った顔のヘビー級の選手が一人引退していたという。こうしてジムの門を叩く者がいれば、人知れずひっそりとグローブを吊るす者もいる。タフでラフな世界だ。

この地でプロボクサーとして現役で戦い続ける事の難しさがうかがえる。それは自ら限界を悟ったからかも知れないし、戦う意志とは裏腹に試合が組まれず、辞めざるをえなかっただけかも知れない。どちらにしても、やはり少し残念に思う。

また、久しぶりの再会に刺激を受けることもあった。以前メキシコで一緒に生活をしていた青年は、今や世界ランキング3位まで登り詰めていた。友情の証に2ラウンドのスパーリングをする。

石田順裕とハッサン・ヌジカム
前WBO世界ミドル級チャンピオン、ハッサン・ヌジカムが話しかけて来た。大きくなった石田の身体に驚いた様子で、ヘビー級へ転向することを告げるとさらに驚いていた。ハッサン自身も4月、ラスベガスで試合の予定がある。

「ボクシングだけの生活。研ぎすまされていく感覚。やっぱりロスはトレーニングするには最高の環境です」

藤本京太郎選手との決戦の日まで、いよいよ1ヶ月をきった。ライバル京太郎陣営も、清田祐三選手とスパーを行い、4月5日には座間の興行で公開スパーを予定するなど、準備に余念がない。
→KAMIKAZE公式ブログ《4月5日米軍座間キャンプ興行に京太郎選手参戦》

日本ヘビー級チャンピオンになりたい。石田順裕はまた新たな目標を胸に掲げている。世界を獲った階級はスーパーウェルター級だ。過去5階級も上げてヘビー級チャンピオンになったボクサーは存在しない。

「海外での試合もそうですが、人が考えない事をやりたい。ボクサーとして誰もやったことのない、誰も考えもしないことをするからこそ面白いんです」

石田順裕の前人未到の挑戦に、メディア各紙もこぞって石田のヘビー級プロジェクトを取り上げた。通常、試合が決まれば勝敗の行方についての記事が書かれるものだが、今回は特に『石田順裕の増量計画』というトピックスで盛り上がっている。読めばを食事メニューから特殊なウエイトトレーニング法、現在の体重は?などの内容がメインだ。

ついにはボクシングという競技の枠を飛び越え、ボディービルダーが表紙を飾るトレーニング専門誌にまで石田順裕特集が組まれたほどだ。

さて、その気になる体重の方だが、3月26日の段階で89㎏まで順調にウエイトを上げて来ている。年明けの段階では、食べて飲んで増やした体重だったが、現在の身体付きはまるで見違える。

肉体改造に成功
上の写真向かって左は1/11の公開スパー時の身体、右が3/22日に撮った写真だ。一目瞭然、見事なまでにビルドアップされた筋肉質な身体付きで、増量に成功している。

当初この計画は〝ミドルからヘビー級に転向するなんて常識として考えられない〟として反対する声も多かったらしい。それも無理はないだろう。普通に考えれば難題だからだ。

しかし、石田順裕がやるとなれば話は違う。誰も成し遂げられないことを実現して来たからこそ世界のISHIDAとなりえたのだ。その事を忘れてはならない。

強い気持ちで最強を証明したい。その想いが原動力となり、ボクシングと向き合い、考え、行動し、それが筋肉となって具現化する。ヘビー級リミットを、ボクシングに理想的な肉体でクリアするまでもうすぐだ。

石田順裕vsリアルヘビー級
ロスキャンプも3週目に突入だ。最近では身長196㎝体重245ポンド、KO率81%を誇る無敗ハードパンチャーを相手にしている。次戦でNABOヘビー級タイトルに挑戦するほどの強者だ。

石田順裕はそんなモンスター級の相手にも全く怯まず前に出て打ち合っている。そうして最強の感触を一発一発、拳に刻み込ませているのだ。本場のリアルヘビー相手にスパーリングをこなす石田の表情は本当に活き活きしている。

もう間もなく、石田順裕がナチュラルヘビー完成の時を迎える。

スピード、テクニック、タフネス、スタミナ、そしてパワーを兼ね備えた、経験豊富な最強ボクサーの誕生だ。


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