その晩、ワシが見たのは王丹のテクニックに鬼イキする阿曽媛の姿だった。
温羅さまよりおっきい。
こんなの初めて。
くやしい、でも感じちゃう。
もうダメ、壊れちゃう。
はじめは怒りと悔しさが込み上げた。しかし、今まで見たことのない阿曽媛の姿に、ワシは興奮していたのだ。どうしようなくオニニーがしたかったが、首だけのワシにはそれも叶わん。
狂気にかられたワシは王丹と阿曽媛を喰い殺し、こうして情けない姿を晒しておるという訳だ。
もはや、鬼の一族は絶えた。宝は好きにするがよい。
憐れな温羅よ。せめて今宵一晩、この桃太郎が貴様の女となり愛してやろう。この猿の体を使うが良い。
何という情け深い女だろうか、桃太郎の温情に温羅の目には涙が溢れていました。
温羅は猿に取り憑くと、おずおずと桃太郎の前に立ちました。
さあ、おいで。抱きしめてやろう。
おお、これが噂に名高い桃太郎の桃か。これは何という、これは何と良いものだろう。今宵一晩、堪能しようぞ。
さあ、ここだ。
ついに温羅は桃太郎と交わりました。ところが三つも数えぬ間に、温羅は昇天してしまいました。なぜなら温羅は早漏だったからです。
こうして桃太郎は見事に鬼ノ城を攻略し、鬼の一党を退治したのです。
桃太郎は犬と猿に命じ、鬼の財宝を運ばせました。桃太郎はひとり、高座で煙管を咥えています。
あの図体で、三擦り半も持たぬとは情けない奴。
桃太郎は温羅の首を抱きかかえると、鬼ノ城をあとにしました。
おしまい
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