それはまるでフランス料理を素手で食べるようなもの
ピカソの絵をダウンロードするようなもの
ラーメンを素手で食べるようなもの
三つ目の例えが若干一つ目とかぶってはいるが
あの「白いやつ」がいかに重要な存在かわかっていただきたい
あれで食べなければ意味がないのだ
あれで食べるからハーゲンダッツなわけで
あれで食べなければハーゲンダッツじゃない
僕にとってそれくらいあの「白いやつ」は重要で
むしろアイスを食べることよりも
あの「白いやつ」を持つことのほうが大事なのだ
人々もみな気付いている
自分が求めているのは実はあの「白いやつ」だということを
それを知っているのか知らないのか君はまるで僕がふつうのヨーグルトやゼリーを買ったかのように透明のプラスチックスプーンを袋の中に投げ込んだから僕は思わず目を疑ったし絶句しそうになった。新人ならまだしも君はもう結構やっているというのにどうしたというのか。あの「白いやつ」が品切れということなのか。いや、たぶん違うだろう。
あのスピードから考えると君の頭の中にはとんでもないものが浮かんでいたのではないだろうか。
「同じスプーンなんだからどれも一緒でしょ」
もしも君がこんな風な考えを抱いていたのだとしたら事態は深刻だ。早急に君の価値観の改革、ライフスタイルの軌道修正をしてもらわなくてはならない。それができないのなら君がカウンターの向こうに立つことを辞退するか、それが嫌なら僕がこの街をでていくことだってないわけではない。とにかく一刻も早くその退廃的な姿勢を捨て、人がなにを大切にしているのかを考えてほしい。
それに君はあのとき
「あ、すみません、このスプーンじゃなくて、専用のホワイトスティックにしてもらえますか?」
とまるで専用コントローラーのように要求しようと思ったがなんとなく後ろに並ぶ人たちの無言のプレッシャーに圧されてなにも言えないままおつりを受け取った僕の表情に気付いていただろうか。極上の不満顔をしていたというのに君はお金の運搬に気をとられて絶好のシャッターチャンスを逃したのだ。あんなフェイスは出そうとおもっても出るものではない。あとから依頼されても無理なのだ。
このようなカタチで伝えるのことが適切だったのかどうかはわからないが最後まで読んでくれたことに感謝したい。
ただ、いつもとは違うアイスを買った人のラムレーズンを運ぶ道具に対するこだわりを、少しでも理解してもらえたら幸いだ。これを読んだらすぐに破棄してかまわない。
