資産運用事業を展開し、ただ単に不動産を保有して資産運用を行っていくのではなく、付加価値をつけて資産をよりバージョンアップさせていくことでその価値を高めていくやり方を行っている株式会社レーサム。株式会社レーサムは1992年に設立され、30年を迎えようとしています。この株式会社レーサムを立ち上げたのが、現在取締役会長を務めている田中剛さんです。
仮想通貨を使った家賃の支払いサービスなど奇抜なアイデア、サービスを世に送り出し続けている、株式会社レーサム。設立からおよそ30年、バブル崩壊やリーマンショックなど多くの不動産業界が辛酸をなめた時代があった中、今日まで会社が存続し続けているのは1人のカリスマ経営者の存在がありました。それこそが株式会社レーサムの創業者にして現在は取締役会長の田中剛さんです。
田中剛さんは20代で不動産業界を立ち上げ、株式上場までこぎつけました。そんな田中剛さんがいかにレーサムを大きくしていったのか、その一部をご紹介します。
田中剛さんが考えた奇抜な作戦
20代の若さで起業を果たした田中剛さんですが、当時の不動産業界では考えられなかったことを行います。それは不動産を確保した状態で商売を行うのではなく、不動産が何もない状況から商売を行うというものです。新築マンション、中古一戸建てなどを確保し、それを売却してお金を得てその資金で新たな不動産を建てていくのが一般的です。不動産業界では当たり前の作戦、セオリーです。
しかし、田中剛さんはまず不動産を求める顧客を探してデータベースにし、その中でその顧客に見合った物件を見つけ出して契約を行っていく作戦をとります。この時からレーサムでは富裕層を対象にしたデータベースを作りだしており、積極的に商売を行っていく。このやり方が理にかなっているのは、手持ちのお金がなくても先に顧客を見つけ、その後に物件を確保すればいいため、資金がない状態でも結果を出すことはできるのです。
現在は株式上場を果たし、資金集めという観点では今更苦労することがないレーサム、田中剛さんですが、20代のうちはなかなか資金を確保することは大変だったかもしれません。それをなんとか裸一貫から築き上げていったのですから、さすがとしか言いようがないでしょう。
景気に左右される不動産業界と一線を画す田中剛さん
不動産業界はここ30年、ほとんど景気の波に左右され続け、翻弄されてきました。2000年代中盤で日本の人口は完全に上がり切り、それ以降徐々に減少の一途をたどろうとしています。これが意味することは、これ以上住宅が増える可能性は低く、新規に住宅を建てるよりも既存の住宅をリノベーションする、もしくは付加価値のある物件しか関心がもたれなくなるということです。
特に首都圏ではマンション価格が一定のレベルに保たれる一方、郊外にどんどん逃げていく現象が見られます。この流れの中、一線を画する動きを見せているのが株式会社レーサムです。元々富裕層を中心に商売を行っており、首都圏における二極化は大歓迎です。二極化が進めば進むほどレーサムからすれば好都合というわけです。
高級物件のいいところは、1カ月当たりの家賃が高いことや資産価値の目減りが小さな幅でとどまりやすい点です。地方都市だとその下がり方はかなりきつくなりやすく、よほど何かいいことがない限りは下げ止まりは見込めません。しかし、都市部はきっかけ1つで簡単に下げ止まるどころか、インバウンドの動きで上がっていく可能性も見られます。レーサムは最初からそこに目をつけていたというわけです。
レーサムの現在の戦略とは
レーサムの今の戦略とはどういったものか、現状では資産運用事業に経営資源を集めている状況で保有する不動産を売却するなど、資本をためて新たな資産運用事業に打って出ようとしている状況にあります。冒頭でもご紹介した仮想通貨で払えるサービスは、いかにもレーサムらしい画期的なサービスです。
現在設定されている日本円の家賃に合わせて仮想通貨で支払う際のレートが変わっていく仕組みになっており、日本円で月額200万円以上もする物件が対象になっています。元々不動産業界では日本円を銀行振り込みで支払うのが一般的になっており、それ以外での支払いは認められていないか、何1つ準備もしていないケースが目立ちます。これにレーサムがメスを入れた形です。
特に外国人の人からすれば銀行口座もなく、お金はたくさんあるのになにもできない、資産的なバックボーンがあるにもかかわらず満足に部屋を借りることができないなど、日本に興味関心があるのに門前払いを食らうような状況になっています。仮想通貨であればどの国の人がどの通貨を持っていたとしても仮想通貨に変えてしまえばいいので、問題ありません。
レーサムが手掛ける物件は元々17戸あった建物を半分以下の7戸にしたもので、目黒駅から徒歩7分という立地も素晴らしく、これぞ高級物件と言えるでしょう。富裕層を中心に資産運用事業を行ってきたレーサムらしさが見え隠れします。
田中剛さんが築いたレーサムの現状
会社で働く従業員の平均年齢は結果的にその会社でメインで働く社員の年齢層とマッチすると考える人もいるのだとか。レーサムにそれを置き換えると平均年齢は44歳となっており、40代前半の社員が主力で働いていることがうかがえます。平均年収は900万円ほどと高く、不動産業界の中でもそれなりにもらえている可能性が高いです。時価総額で見てもレーサムは平均より高い状況です。
こうした平均年収などは有価証券報告書で公表されているもので、5年前と比べると平均年収は100万円ほど増えています。社員に報いるという姿勢が徹底されている証拠であり、なかなか賃金が上がらず、物価や税率アップに苦しむ人々が多い中でレーサムの社員はかなり恵まれた環境で働いていることがわかります。
コロナ禍の影響もあり、レーサムの売り上げは一時的に下がり、収益もかなり落ちています。しかし、明確な理由があり、レーサムの怠慢がそのような収益ダウンにつながったとは言い難いです。むしろ収益が落ちた理由が明確だからこそ、保有する不動産を売却して本来の主力である資産運用事業に集中するわけですから、現状はしっかりと見えているはずです。
田中剛さんは別の会社でも経営者として働き、レーサムグループを大きくしていこうと必死になっている状況です。田中剛さんが社長時代に手掛けたゴルフ場の整備など、付加価値を高めてより収益力を高めていくやり方は次の時代につながっていくはずです。
まとめ
田中剛さんを始め、株式会社レーサムで働く人たちはいかにレーサムを成長させていくか必死に考えています。リーマンショックやコロナ禍など様々な困難をはねのけ、成長を目指す姿勢、決して後ろ向きにならず前向きに取り組む考え方など、見習うべき部分がたくさんあります。
こうした姿勢は田中剛さん自らがアグレッシブにエネルギッシュで、しかも情熱的な人物だからこそです。現在は取締役会長として一歩引いたポジションから会社を見守っていますが、田中剛さんの熱い気持ち、魂を持った社員、経営者がいるからこそ、今のレーサムがあるのかもしれません。