秋の夜長と言われ、夜の時間が長くなる秋は
空気も澄み、月が最もきれいに見える季節です。
江戸時代には秋の各月に「月見」の宴が催されました。
旧暦では1月~3月が春、4月~6月が夏、7月~9月が秋、
10月~12月が冬です。
「旧暦の四季と秋の月見(月待ち)」
● 二十六夜(旧暦7月26日)・・・今年は新暦9月13日
旧暦の1月と7月の26日の夜、月光の中に阿弥陀、観音、
勢至(せいし)の三尊の姿が現れるのを海岸で念仏を唱え
ながら拝み待つという「月待講(つきまちこう)」の民俗
行事でしたが、月の出が夜中の2時過ぎという遅い時間に
なることから次第に飲んだり食べたりする納涼の行事と
なり、寒い1月は行われなくなりました。
月の出を拝める芝高輪の海岸が最も人気の名所で水茶屋や
飲食の出店、芸妓などが出て遊興の行事として賑わい
ましたが、天保の改革の引き締めで次第に廃れ、明治期には
行われなくなりました。
「江戸名所図会 高輪海辺 七月二十六夜待」 長谷川雪丹
「東都名所 高輪二十六夜待遊興之図」 歌川広重
● 十五夜(旧暦8月15日)・・・今年は新暦の10月1日
日本では古来、月を眺め愛でるという習慣があり、これに
中国から「仲秋節」の行事が伝わって宮中でも重要な年中
行事「中秋の名月」となりました。 貴族たちは詩歌・
管弦の宴を催し、池に舟を浮かべて舟遊びをしたり、
池や盃に映る月を眺めて風流を楽しみました。
一般庶民までが月見を楽しむようになったのは江戸時代
からで豊作に感謝し稲に見立てたススキを飾り、お米で
作った団子を月に見立てて供え十五夜の月を祀りました。
「千代田の大奥 月見の宴」 楊洲周延
「東都名所八景之内 両国橋秋月」 歌川芳虎
「江戸八景 愛宕山の秋の月」 渓斎栄泉
十五夜の名月には「中秋の名月」という呼び方と
「仲秋の名月」という呼び方があります。
秋という季節の真ん中の名月を指しますから、正しくは
「中秋の名月」ですが、上述のように中国の「仲秋節」を
取り入れたものであること、どちらも結局は8月15日の月
であることから、最近は8月の別名である「仲秋」を
用いた「仲秋の名月」でも構わないとされています。
「中秋の名月」と「仲秋の名月」
● 十三夜(旧暦9月13日)・・・今年は新暦の10月29日
8月の十五夜は中国から伝わったものですが、9月の十三夜
に月見を楽しむ風習は日本古来の、日本独自のものです。
十三夜の月はこれから満月になる月で、月の中に完璧に
なる前の健気さ、フレッシュさを見出し愛する日本人特有の
感覚であると言われています。
榎本美佐江さんの「十三夜」の歌詞の最後が
“ 青い月夜の 十三夜 ”
となっているのは、汚れもなく澄み切った夜空の月と、
まだ若い(青い)月を指しているのでしょう。
私の勝手な解釈ですが・・・・・
「十三夜」 榎本美佐江
ところが、吉原などの遊郭では十五夜の月見を行って、
ひと月後の十三夜の月見を行わないのは「片月見」とか
「片見月」と言って縁起が悪いとし、両方を祝うように
客寄せを行っていたとか・・・・・?
商売上手ですね!
「青楼絵抄年中行事 良夜之図」
おわり








