SNSの過去の記録機能で、9年前にブータン首相(当時)にお目にかかった時の写真が上がってきました。
ジグミ・Y・ティンレイ閣下は、ブータンが2008年に王制から立憲君主制へとシフトし、初の総選挙によって生まれた首相です。ご縁あって、日本のメディアとして初めてインタビューをしました。
そんな経緯もあり、2011年の来日で再会。少しお話する機会にも恵まれたのです。
彼の地で行ったインタビューでの首相の言葉は今でも忘れられません。「日本がブータンから学ぶことは何ですか?」との問いに、「学ぶべきことは、私たちの国からではなくあなた方の過去にあると思います」とおっしゃったのです。これは拙著「ブータン王室は、なぜこんなに愛されるのか」にも書きましたが、以来10年以上の年月を経ても折に触れて思い出します。
そして東京での再会。和やかに挨拶やインタビューのお礼などを終え会話が進んでいく中で、閣下にこう尋ねられました。
「ところで日本の政権交代に関して、あなたはどう思っていますか?」と。
私はその質問にいささか戸惑ってしまいました。そして「良い変化になればと願っております」と、ありきたりな返事しかできませんでした。
今でも思い返すと、悔いが残ります。そして思ったのです。世界のリーダーと言われる人たちとの会話では、文化や芸術だけでなく、政治に対してもきちんとした認識と自分なりの意見を持っているのが大切だと。
自分から声高にいうべきかどうか。それは人それぞれで良いのかもしれません。しかし、知らないやわからない、では恥ずかしい。会話の内容に品格を求められる時、政治に無関心や無理解ではいけないという事を、ブータン首相との会話で感じたのでした。
そういえばフランス人映画監督から「川端と三島の自殺に関連はあるか」と聞かれたこともあります。本当に、世界で会話を続ける時の教養として、まず必要なのは、自国の事柄なんだなと一枚の写真が改めて伝えてくれました。