【ニューヨーク=斉藤雄太】米金融大手ゴールドマンサックスが16日発表した2023年10〜12月期決算は純利益が前年同期比51%増の20億ドル(約2900億円)だった。株式のトレーディング業務が好調で、21年7〜9月期以来9四半期ぶりの増益になった。利益水準自体はまだ低いが、過去2年間に及ぶ業績悪化に一定の歯止めがかかった。事業会社の売上高に相当する純営業収益は7%増の113億ドルだった。トレーディング業務は23年末にかけての米株相場の上昇を追い風に、売買の仲介などを担う株式関連の収益が26%増えた。債券為替商品(コモディティー)の取引を担う「FICC」の収益は24%減った。投資銀行業務の手数料収入は12%減の16億ドルだった。株式や債券の引き受けはそれぞれ4割程度伸びたが、M&A(合併買収)助言は約3割減った。このほか投資銀行トレーディング業務に次ぐ柱に育てようとしている資産運用富裕層向け部門の手数料収入も伸び、利益を押し上げた。米地銀シリコンバレーバンク(SVB)などの破綻時の預金保護にかかった費用の回収に向け、米連邦預金保険公社(FDIC)は各銀行に特別な負担金を課している。ゴールドマンは約5.3億ドルを費用として計上した。23年12月期は純営業収益が前の期比2%減の462億ドル、純利益が24%減の85億ドルだった。高金利環境で企業のM&Aが低調になり、投資銀行ビジネスの手数料収入が細った。リテール(個人向け)事業の大幅な縮小に伴うコストもかさんだ。四半期ベースの利益は持ち直しつつあるものの、米連邦準備理事会(FRB)が利上げを始めた22年3月以前の水準にはまだ距離がある。ゴールドマンは同日、米ゼネラルモーターズ(GM)と提携するクレジットカード事業を他社に譲渡することでGMと合意したと表明した。米メディアは米アップルともクレジットカードや預金サービスの提携解消を協議中と報じている。ゴールドマンのデービッド・ソロモン最高経営責任者(CEO)は同日の決算説明会で「アップルとは引き続き提携しており、新たな情報はない」と説明した。