イオンの総合スーパー(GMS)子会社のイオンリテールは8日、イオンの衣料品ブランド「トップバリュコレクション」を新ブランド「TVC」に刷新したと発表した。30〜50代のファミリー層を照準にシャツやパンツなど普段使いのカジュアル衣料を取りそろえる。北海道や九州地方などを除く全国の「イオン」「イオンスタイル」289店舗で販売を始め、25年2月期にTVCの売上高を7倍に増やすことを目標とする。イオンリテールは3月、カジュアル衣料品の企画や開発部門を同社の子会社トップバリュコレクション(千葉市)に移管し統合した。両社で開発していたカジュアル商品の重複をなくし効率化を図る。TVCの取扱店舗は従来の82店舗から289店舗まで増えた。TVCの売上高は24年2月期比で25年同期に7倍、29年同期に10倍まで増やす計画だ。ファミリー層を主要なターゲットとするが、若者からシニアまで幅広く使える商品を取りそろえる。カジュアルパンツ「オルスタパンツ」(4378円)はオフでも仕事でも着られるよう、ウエスト部分をゴム仕様にするなど履き心地の良さを意識した。イオンリテールはGMSの衣料品売り場を年齢層や使用シーンなどに応じた6種類の専門店へと分類する改装を進めている。自社開発商品も刷新することで衣料品販売をてこ入れし収益拡大をはかる。8日に都内で開いた説明会で、イオンリテールの井出武美社長はTVCについて「国内外問わずイオングループ内への展開を視野に入れ、グローバルブランドとして成長させたい」と期待を込めた。GMSの衣料品事業は岐路を迎えている。「ユニクロ」や「H&M」など企画から調達製造、販売までを一貫して管理する「製造小売り(SPA)型」に押され、GMSの売り場まで来て衣料品を購入するという動機づけが難しくなっている。セブン&アイホールディングスは26年2月末までに直営のアパレル事業から撤退する方針を掲げている。