子どもたちも、がんばっている。

子どもたちも、考えてる。

無口だけど、すべてをわかっている。

未来をまっすぐに見ている。

気丈にふるまう子どもたち

事実である映像を見て、新聞を目にして、
目をこすり鼻をすすっている子どもたち。

町や田畑が、飲み込まれてゆく。その速さ。
原子力発電所も大変なことになった。
子どもに見せてよいのだろうかと迷うほど、
編集なしのその映像は、真実なのか。
わたしにも説明がつかないことが起きているのだ。

見てもらおう事実を。
その場の人の気持ちが想像できる大人になってほしい。
恐怖だけに終わらせないのが事実だ。
現場ではない。カメラを通しているけれど、
わたしが説明するよりよいだろう。

恐怖に目をしかと開けて前を向いている。
幸い、この時間は停電が起こらずテレビが映った。

少年は「たいせつなこと、わかったね」とポツリと言った。

10年も経ったら成人になる少年たち。日本はどうなっているのだろう。

無意識のなかで

子どもたちは、また黙ってブロックを組んでいる。
余震はかなり大きく、頻発している。
刻々と変わる状況を把握しながら、
遊びの中で流された家をもはや復興させようと
しているのだろうか。

　　　　【子どもたちが遊びの中で無意識に建てていた家】

プライオリティ

自分の仕事ばかりが大切なんじゃない。
工業用200Vの大容量電源を使う窯は一時休業。
並行しているライターの仕事も明日が納品だ。
時々、停電が起こる。
大きな余震が起こるたびに
子どもたちを安心させながら。
電気が不安定になる。
明日の水と食事は大丈夫か考える。
PCが落ちる。
家人、そして実家の両親とも連絡は取れないまま。

こんななかで、仕事など到底できなかった。

大人は運に任せるしかないと、妙に肝が据わった。
家人はまだ戻らない。連絡も取れないまま。
上に住むお子さんを預かった夜。
ご両親とも連絡が取れないまま。
Twitterで情報を探すが、手がかりはない。
学童から集団下校してきたけど、
危険な状況の中で、子どもをひとりにさせておくなんて
学校もどうしたことか。（我が子の学校は奇遇にも一斉休校だった）
時に停電もあるけれど、ガスは開通している。
せっせと土鍋を直火にかけてごはんを炊きおむすびを握る。
土鍋よ、頑張っておくれ。いろんな願いを込めてせっせと握る。

子どもを守る。

できること、身近なところで。

近いところから。

家人や両親と連絡が取れないまま一晩が過ぎた。
明け方、会社の人たちを家に届けてようやく家人が帰ってきた。

スーパーもしまってるし、お米も買えないけど。
こうやって生活できることが奇跡。

古くなったパンをうすーく切って、
フライパンで焼いて子どもたちのおやつに出した。

ヤカンや鍋、ペットボトルには水をいっぱい溜めてあるから、

お茶は注ぎ口が欠けてしまったポトルで淹れた。
（追記：この水溜めが、原発事故の後、有用だった）

「ありがとう」みんな自然に

停電でも遊べるブロック、コマ、ヨーヨーなどで笑って遊んでいる。
集中しているのではない。きっと、次に何が起こるか
耳だけは傾けている。ワンコのように。
不安を紛らわせているだけ。

ただ、私の不安な時間も吹っ飛ぶ声はありがたかった。

この子たちは、必ずすてきな次世代をつくってくれる。

こどもたち。