対馬市小茂田浜の夕暮れ 小茂田浜を思いて 何気なく見あげれば 天高く一羽の鳥のさまよいて 西の空には熱き雲 西陽はそれをくぐり来て 青き海原を金色にそめる 鳥は何度も輪を描き 何を思いて空を舞うのか その姿にしばらく見とれる この浜は悲しき古戦跡 その昔彼を思いて泣いた娘の声は波の音 千年の時を過ぎても変わらぬ青い空、青い海 戦う者はともに敗れ、 愛し合うものはともに結ばれ 恋しがるものは常に切ない。 元寇の流した血の色は今はなく 夕映えの陽が浜辺に今日も赤い。 (2016年1月15日の小茂田浜の夕暮れ)