続・五十歳にして発つ

続・五十歳にして発つ

今般(2019年11月)、ヤフー・ブログ「五十歳にして発つ」で書き綴ったものをアメーバブログに移管しました。しばらくブランクがありましたが、移管を機に、「続・五十歳にして発つ」として再び旅行記等を書きたいと考えます。よろしくお願いします。

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エピローグ

 

今、フェイスブックが提唱する仮想通貨「リブラ」を世界の主要国が脅威と見ている。フェイスブックのユーザー25億人が潜在的な顧客となり、中央銀行の金融政策への影響等計り知れない。先ずは巨額の消費者間小口決済(今年のキャッシュフロー見込み=7150億ドル)の手数料(500億ドル)が、限りなくゼロに近づくという。今年10月、G20の財務相・中央銀行総裁会議は、「当面認めず」で一致した(11月、加筆)

 

「リブラ」の協会は、スイスのジュネーブに置かれる。なぜスイスなのか。スイスは中立国としての歴史があり、金融とテクノロジーの融合である「フィンテック」に前向きだ。協会としての役割は、「リブラ」価格の安定のため、法定通貨(ドル50%、円、ユーロ等)を引当金として管理する。流通網のためにブロックチェーンの技術開発を進める。スイスはG20に属さないため、先に記載した「当面認めず」という合意にも拘束されない。富裕層のためのプライベートバンキングと「フィンテック」による最先端の金融。リアルとビット(ネット)、両方の世界で独自の立ち位置を模索している(写真☟チューリッヒ、右のクレディ・スイス本店と左側UBS本店)

 

スイスは、欧州の真ん中に位置し、いつの時代も四方の大国への対応に苦悩した。15世紀以降、産業基盤の少ないスイスでは、傭兵の歴史が始まる。国外で兵士として働く中で、やがてスイス人同士が戦う悲劇が増える。やがて「武装中立」の宣言をする等、中立の思想が芽生える。他方、フランス革命で傭兵は、ルイ16世を守るために戦い多くの犠牲を払う。その後、ナポレオン革命後の1815年、ウィーン会議以降に永世中立国として認められる。産業革命で精密機械産業の基礎ができたが、二つの大戦という不安な時代が訪れる。第二次世界大戦では、ドイツの侵攻を抑えつつ交戦状態を避ける事に成功。戦後は、EEC(後のEU)に加盟せず、中立を維持。ただし2002年から国連に加盟して新たな展開となる。激変する国際社会の中で、中立を貫くための模索が続く(写真☟チューリッヒ旧市街地にスイス国旗がなびく)

 

九州ほどの小さな国土。その大半がアルプスという険しい山々だ。厳しくも美しい山岳地帯を地の利に変えて、地政学上のリスクをチャンスに変えてきた。四方の大国とうまくやってきた。山々に高台に谷に湖に、トンネルを掘り、鉄道を通し、ホテル・レストランを建て、道路を整備する。4000mの高地で、訪れた誰もが楽しめる十分な環境を整備する(写真☟岩山の展望台に向けてゴンドラが走る)。誰もが、自らのスタイルで、山を観る、登る、歩く、雪を滑る、鉄道・船・ゴンドラ・リフト・自動車・自転車に乗る、空を飛ぶ事等ができる(写真☟フィルスト、氷河と緑と人工物が同居する)。様々なアトラクションも積極的に取り入れ、若い層への対応も忘れていない。スイスは独・仏・伊の3か国語を公用語としている(ロマンシュ語を含め4か国語が言語)。観光立国だから当然に英語はどこでも通じる。治安はよく安心して旅ができる。何より、その絶景は今までの旅行で観てきた景色が吹き飛ぶくらいのものだった。

 

では、次回もスイスか?うーむ、どうだろう。今は少しだけ、このとてつもない大自然に「ごちそうさま」かもしれない。もちろん、取りこぼしも多数ある。ブリエンツから電化されていない世界一急こう配の登山列車がロートホルン山頂まで走っている。上には山岳ホテルがあり、しかも値段は手頃。そこに泊まりベルナーオーバーランドの峰々、インターラーケンの街並みブリエンツ湖、更にはピラトゥス方面の山々等を、運が良ければ朝日や夕景の中で観る事が出来るかもしれないのだ。今回の旅行で最大の取りこぼしである。

 

また大自然への渇望が強くなる時、グレードアップして出発したい。2度目のスイスとなれば、こうありたい。先ずは、山岳ホテルに泊まり、朝夕の絶景を愉しみたい。乗り物に頼り過ぎず、しっかりとハイキングの比重を増やしたい。JAZZフェスティバル(6-7月)時期に合わせて、レマン湖畔モントルーを訪れたい。ジュネーブまで足を延ばせばアルプス最高峰モンブラン(フランス)に近づくから、せめてみるか。それから、それから...。いけない、「ごちそうさま」と言った舌の根の乾かぬうちに、もう考えている。はてさて、次回も悩みながら、楽しい計画をあれや、これやと練る事だろう。

(写真☝ウンターリッフェルゼーからマッターホルンを臨む)

(写真☝ウンターリッフェルゼーに映る人々。背後は左ダンプラッシュ、右オーバーガーベルホルン)

(写真☝ビルグからのベルナーオーバーランド西方の眺め。ブライトホルンが見える)

 

(参照)

地球の歩き方~ドイツ編、~スイス編、~ヨーロッパ鉄道の旅編、るるぶスイス、日経新聞、スイス公共放送協会国際部オンライン記事、他ネット検索。