4月末の連休から始まった「岸本恭一展」~ギャラリー再開第一回展~、お陰様で5月26日(日)をもって無事終了いたしました。

 

  

(会期中ず~っと咲いていたカルミア)

 

 中間報告にも書きましたが、以前の常連だったお客様が「久しぶり~」と訪ねてみえたばかりでなく、初めてのお客様ながらお話を伺うと何と我が家族に関係ある方だった、というような方まで足を運んでくださったのだ。

 

  

(談笑されるお客様達)

 

  例えばM氏。私の亡兄と60年以上交際があったので、これから行く、との電話。その兄は生前様々な事業を起業したり廃業したりを繰り返した人で、私達家族はそのため多方面の方たちにご迷惑をかけたのではないか、M氏もそのお一人で積年のうっぷん(?)を晴らしにでも見えるのかと内心ドキドキしてました。

 

  ところがそのM氏、開口一番「あなたのお兄さんには私が入社直後からすっかりお世話になりましてね」と。M氏が新卒である金融機関の営業担当に配属された時、その支店近くに会社を持っていた兄が自分の知り合いを多数紹介してくれた。その数たるや初任営業マン一人が得られる顧客数をはるかに超える数だったそうな。

「それ以降も何かにつけお兄さんに助けられ、そのお陰で定年時には理事にまでなりました。いや私ばかりでなくお兄さんの周辺にいた人達はみんなお世話になって、いまだに感謝していますよ」

 

「へ~っ」と私達はキツネにつままれたよう。

 

「それで昨日の読売新聞のギャラリー案内欄で『岸本恭一展』を見た時すぐに『あ、お兄さんがよく話していた妹さんのご主人だ』とピンと来たのです」

 

  まるで私達の知らない亡兄の姿。早速写真と共に兄の長女に報告すると、彼女「あ、Mさんだ、子供の頃お父さんに連れられてよく上野のお蕎麦屋に行ったけど、その時同席していたオジさんだ!」と。ただMさんの顔は覚えていたが、父親の隠れた善行(?)は知らないようでした。

 

  また昔馴染みのMさんが見えた時は、はるか昔の子供達の思い出話に花が咲きました。Mさんはウチの子供達が幼い頃お世話になったFオバちゃん宅の隣家にやはりお子さんを預けていらして両方の子供達が一緒によく遊んだ、とのこと。ウチの子供達の名前まで覚えてくれていて今回はそのひとりひとりにお手製の布製バッグをプレゼントして下さった。

 

  そうかと思うとウチの看板を見て飛び込んできた方。ぐい呑収集が趣味で、ウチの焼き物の看板をごらんになって、ふらりと立ち寄られたとのこと。

 

            

        (こんなわかりづらい看板なのに、よくぞお出で下さった)

 

  お名前を伺った私が来客名簿を見ながら「ひょっとして一昨日見えたYさんとご親類ですか?」と確かめると、名簿を確認され、「確かに妹だ」とびっくり。

  お二人のご実家はウチの子供達と同じ学区で、Yさんは私の長女と同学年だった、とのことなので、念のため旧姓を伺っていたのです。

  現在はご兄妹とも別々の地にそれぞれ家庭を持ち、今回の連休中は入れ違いに実家に帰省、とのこと。

  その後ご兄妹連絡を取りあい、お互い奇遇にびっくりされたそう。

 

  びっくりしたと言えば、長女の夫。それまではバリバリ働く第一線のビジネスマン。趣味はバイオリン演奏のみ、と長い間私達は思いこんでいました。ウチでの展覧会でもあんまり興味無さそうで、「無理に見ろ、見ろ、と言ってもなぁ」でした。

  が、今回はまるきり反応が違いました。展示作品を1点1点熟視。本画ばかりか額まで吟味、の挙句、とうとう1点予約までするではありませんか。その絵は…

 

(「樹洩れ陽」。額まで気に入って)

 

  その他にもご自分の趣味の、タンポポの写真や空中に放散される直前に固定したタンポポの綿毛(実物を見なければ想像できなかった)や、日本各地の和紙を張り合わせた独創的な提灯を持参して見せて下さる方。

 

  

(タンポポの綿毛を固定したオブジェと和紙の提灯)

 

  そうかと思うと息子のバイオリン演奏を突然所望、独奏用楽譜を用意していなかった息子を慌てさせた方々。

 

(突然のリクエストにあわてる息子)

 

  ホントに、ホントに色々なお客様がお越し下さり、ありがたかったし、お客様方も同様に楽しまれたと推測しています。

 

  そして痛感したのは、沈黙・非接触を強いられた長いコロナ禍期間を経て、どの方もどの方もお話をしたがっておられる、お話を聞きたがっておられる、ということ。

 

  そうでなければ、お一人でいらした方もグループでいらした方も「知らぬ同士が、小皿叩いて~」のチャンチキおけさではないが、それまではお互いに見知らぬ同士が、ご先祖のルーツについて、お名前の由来について、あんなに長時間、時の経つのも忘れて談笑し合うはずがない。

 

  まさに今回のキャッチフレーズ「我がギャラリーはあなたのサロンです!」が認知された証でした。

 

  この結果に気をよくした私達、閉館したばかりなのに、早くも秋展の内容をどうしようか、と胸ふくらませておりまする。乞うご期待!