おいしいコーヒーのいれ方 消せない告白/凍える月 | つれづれログ

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色々な事を徒然なるままに書いていこうと思います

消せない告白 おいしいコーヒーのいれ方 Second Season 3 (おいしいコーヒーのい.../村山 由佳
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楽しい焼肉パーティー…のはずだった。
オーストラリアから一時帰国した秀人さんを囲んだ
にぎやかな会が、一転、激しい兄弟ゲンカに。
さらに運の悪いこと に、仲裁に入った勝利の頬に
強烈なパンチがはいった。
顔面が腫れ、歯を失い、部活を休んだ勝利のもとを
星野りつ子が見舞いに訪れ、これまでとは違う一面を見せる。
一方、かれんはひとり悩みを抱えているが…。
セカンドシーズン第3弾。

凍える月 おいしいコーヒーのいれ方 Second Season 4 (おいしいコーヒーのいれ方.../村山 由佳
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僕はいったい、どんなことでなら頑張れるんだろう…。
勝利は本格的な就職活動の時期を迎えるが、
自分が何をやりたいのかがわからず、
漠然とした将来への不安を覚える。
そして、いま、大きな困難に直面しているかれん。
仕事のこと、おばあちゃんのこと、悩みながらも精一杯お年寄りの
世話をする日々。
責任とは、社会的立場とは…、大人への転換期に戸惑う勝利。
セカンドシーズン第4弾。

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おいコーシリーズの文庫版最新作。

2冊同時に刊行ということで感想も2本立てに。
1冊が200ページにも満たないから、2冊位でボリューム的には
ちょうどいいな。


主人公の勝利と5つ年上の恋人かれんの関係は、かなり深まって
きた感。

情熱は冷めやらないままに、お互いに自分の気持ちに素直になり、
ちょっとした事で周りが見えなくなる事も少なくなってきた。

勝利とかれんの精神的な成長は読んでいて心地良い。
シリーズ長いだけに、すっかり見守る立場になってしまったんだろう。
じわじわとでも着実に進展していけば、スローペースな長期シリーズでも
読者は着いていく気持ちになるものなんだなぁ。


あまり好きなキャラクターではなかった星野りつ子。
当初は恋のライバル的な存在として登場した彼女も、勝利とかれんの
関係が安定してきただけに、邪魔にならなくなってきた。

こうなってくると、これまでの展開で可哀想なくらい病んでいた彼女にも
少しは幸せになってもらいたい感情が芽生えてくる。
原田先輩とくっついてくれれば、全て丸く収まるんだけどなぁ。
家族に対して、全力で彼女である事を否定された先輩、かわいそう…。


今回、テーマの一つとして扱われていた、好きになってはいけないと
される人を好きになってしまうという事。
実の兄の妻と心を通い合わせている秀人が登場する。

いくら理性という皮を被っていても、人間は所詮生き物。
本能的な情動を完全に抑える事は難しい。

それでも多くの人はそれでも我慢するという選択をするだろう。
社会的にそうせざるを得ない。
秩序や世間体を度外視したとしても、秀人の言葉にあったように
周りが失うものも少なくないし。

人間ってつくづく面倒な生き物だと思う。
恋愛や人間関係については特に。
だからこそ色々な感情が渦巻いていて、面白いという面も
否定できない。
障害があるからこそ、燃え上がる恋心もあるってね。


あとがきにて作者は言う。
これから先、物語はシリアスな展開になる。
でも、バッドエンドにはしないから最後まで着いてきて欲しいと。

その言葉どおり、凍える月の最後は嫌な予感しかしない展開。
そして予感は見事に的中、シリアスというか不幸な展開しか
見えてこないな…。

思い返せば、絶妙にスポットの当たっていたマスターのニヒルな
表情も見納めになる勢い。

とは言っても乗りかけた船。
最後までお供しますよ、村山さん。
障害のある恋に燃えるように、素晴らしい物語のフィナーレには
カタルシスが必要。
不幸の数や量の分、最後に幸せがあると信じて。
そう考えて、これからのシリアスな展開を見守ろう。