- 走れ!T校バスケット部〈3〉 (幻冬舎文庫)/松崎 洋
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先生や親たちに感謝しつつそれぞれの道へと進む。
一方、台風で流されたホームレス薄野は、依然、
行方不明のままだった。
残された犬のタロウを引き取った陽一一家に、
また新しい縁がうまれて―。
大学生になり、将来を考え始めたT校メンバーを描く
大人気青春小説シリーズ、第三弾。
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相変わらずシンプルな文体の本作。
質素過ぎる感も無いことは無いが、それがまたイイ感じ!
あらすじ通り、陽一達T校バスケ部メンバーはそれぞれ
バラバラの道へ。
出会いがあれば、別れがある。
別れがあれば、出会いがある。
いじめが原因で転校してきた陽一。
色々な事があったが、最後は実に晴れやかな気持ちで
卒業する事が出来て本当に良かった。
そして陽一と出会うことで、飛躍する事が出来たT校バスケ部。
メンバーも陽一との出会いに感謝する良い卒業式だった。
本作ではT校のメンバーよりも陽一の父、正道や前作で陽一達に
大きな影響を与える事となったホームレス薄野にスポットが
当たっている。
陽一はあっという間に大学3年生に。
その間、本当に色々な事が起きる。
まさに激動。
人と人との出会いが、お互いに影響を与え合って大きなうねりと
なっていく。
そんなイメージ。
人生って一期一会だ。
陽一は将来を考え始める。
指導者としての道を。
現在6巻まで発表されているので、今後の展開に期待。
陽一の後輩である超高校級プレイヤー健太。
しかし劣悪な環境のためにそれを活かす事が出来なくなって
しまった。
なんとも勿体無い話だ。
でも良くある話だと思う。
本人の努力は言うまでもないが、才能を活かすも殺すも
環境次第だ。
優秀な指導者、良い仲間達、競争できる相手、設備などなど。
それらが足りていないばかりに、十分に発揮できない才能が
あるのが現実だろう。
だが健太にはT校の仲間達がいた。
彼らの助言もあり、彼はもう一つの偉大な才能を活かす道を
選ぶのだった。
そう、「フードファイター」の才能を。
バスケの選手に比べると個人的に残念な感はあるけれども、
それだって立派な才能だ。
健太の今後に期待。
前作までと違い、バスケのシーンが少ないのがちょっと寂しい
気もするけど、人生もそうだもんな。
大多数の人はスポーツばかりやっている訳にもいかないし。
彼らの今後の活躍が楽しみ。