誘拐ラプソディー | つれづれログ

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誘拐ラプソディー (双葉文庫)/荻原 浩
¥760
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伊達秀吉は、金ない家ない女いない、あるのは借金と前科だけの
ダメ人間。
金持ちのガキ・伝助との出会いを「人生一発逆転のチャンス?」と
ばかりに張り切ったものの、誘拐に成功はなし。
警察はおろか、ヤクザやチャイニーズマフィアにまで追われる羽目に。
しかも伝助との間に友情まで芽生えてしまう―。
はたして、史上最低の誘拐犯・秀吉に明日はあるのか?
たっぷり笑えてしみじみ泣ける、最高にキュートな誘拐物語。

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秀吉がちょっとしたきっかけから誘拐した伝助。
その父親がヤクザの親分であった事から発生したドタバタ劇。

秀吉は小悪党でダメな奴だけど、心の底まで腐っているわけではない。
それが原因で様々な困難を抱えた3日間を過ごすことになるんだけど。

伝助の父親、篠宮はヤクザで本物の悪党なんだけど、子供を愛する
気持ちは普通の親父。

チャイニーズマフィアのボス、王宗華も悪い奴なんだけど、最愛の
息子の存在が原因で、殺すために捕えた秀吉達を逃すことに。

悪い奴らも根は普通の人間的な心を持っているんだというお話である
ように思った。

他にも組のメンバーの関係性、秀吉をかばう親方や、自分の息子が
事件の関係者になったとしった途端に冷静さを失う刑事など
人と人との関わりが印象的。

この手の物語は子供がワガママだったり、生意気だったりすると
物語上邪魔な存在に思えたりしがちだけど、伝助は素直な子だった
のでその辺りはまったく問題無くて、むしろ伝助みたいな子供がいたら
楽しいだろうなとも思えた。

伝助がヤクザの子供だと秀吉が知った後は、バッドエンド直行って
感じの絶望的展開だけど最後はいい感じの所に落ち着いた感じ。

刑務所にヒットマンが来て、ぴゅ~ってならなければいいけれど、
刑事さんの言葉を信じて大丈夫なはずだと思っておこう。