青山のアカデミーデュヴァンで開かれた、ニュージーランド、南島セントラルオタゴのリッポンヴィンヤードの当主ニック・ミルズ氏のセミナーに行ってきました。受講料は7種の試飲付きで¥4,320。

インポーターのラックコーポレーションの協賛あっての料金ですね。

 

Ripponのピノ・ノワールは13年前に世界のピノ・ノワールを比較試飲するワインセミナーで飲んで、その良さを教えられた思い出のワイン。その造り手に直接お会いできる機会ということで、この企画に飛びつきました。

https://tsuredsurewine2.blog.fc2.com/blog-entry-190.html

 

セントラルオタゴは、南島の西海岸に沿って聳える標高3000~4000mの山脈の東側に位置し、ニュージーランドで唯一の大陸性気候のワイン産地。乾燥したアレキサンドラと比べるとリッポンヴィンヤードのあるワナカは山脈に近いため、湿気がある程度あり、気候はやや温暖。

 

リッポンヴィンヤードの地は曽祖父が1912に購入。

1970年代に父のロルフ・ミルズ氏が試験的にワイン用葡萄の栽培を始めた。25-3種類のクローンを試した結果、パフォーマンスの良い枝を選抜し、自社で苗木を育てた。

 

リッポンの畑はフィロキセラの侵入を受けておらず、葡萄樹の80%が自根。

有機農法で、2003年からは無灌漑、ビオディナミによる葡萄栽培。

 

醸造面では、補糖無し、培養酵母の使用も無し。自生酵母のみでの醸造。

 

生産量は、SB 400-500ケース、GN 50ケース、Emma’s blockとTinker’s fieldのPNはそれぞれ150ケース、Rippon  Mature Vineは1500-2000ケース。

 

1 Sauvignon blanc 2016

 

全て自根のソーヴィニョン 。

足で踏んで潰し、2日間浸漬後、搾汁。

50%を樽(新樽なし)で、50%を底が広いタンクでSur Lieで熟成し、澱(酵母)の自己分解によるアミノ酸の旨味を引き出している。

 

色は薄っすら緑を帯びた薄いイエロー。

グラスからは、フルーティーな香り、石灰様のミネラル香、白い花、オイリーさのある柑橘の果皮の香り、柘植の芽。

口にすると、オイリーなとろりとした舌触り、豊かな果実の甘み、その後ろに立ち上がるやや強めのしっかりとした酸、たっぷりとした果実の旨味で、旨い!

 

2 Gamay 2016

 

こちらも全て自根。

SO2は醸造時には不使用。瓶詰め前に必要最低限の量だけ添加。

2012, 13, 15は不添加。19もその予定。

 

色はやや薄めのルビーレッド、エッジまでほぼ同じトーン。グラスの底はしっかり見えます。

グラスからは、甘草、シナモン様のスパイス香、少々の紫蘇、アセロラを思わせる赤系果実、アプリコットを思わせる黄色い果実。

口にすると、やや強めの苦み、中程度からやや強めの酸、ギュッと口腔壁を締めるタンニンの収斂味、厚みのある噛める様な味わい。

まだタンニンが強いので、数年寝かせてから飲んでみたい。

 

ここから、3種のキュヴェの2016 ピノ・ノワール。

PNについては、どの畑の葡萄も同じ醸造方法。

20-30%全房醗酵。自生酵母。15-18ヶ月樽熟し、瓶詰め後1年瓶熟し、出荷。

 

“Rippon”はVineyard全体のテロワールを表現したワインで、Emma’s block、Tinker’s fieldのピノ・ノワールもブレンドされている。Emma’s block、 Tinker’s fieldはクリュもので、オーケストラを構成する各楽器のソロの様な存在。

 

3 “Rippon” Mature Vine Pinot Noir 2016

 

色はやや薄めのルビーレッド。

グラスからは、シナモン、赤身肉、ブラックチェリー、酸を連想する赤系果実、甘草、化粧香、

口にすると、豊かな果実の甘みとたっぷりとした旨味、軽い苦み、中程度からやや強めの酸、噛める様な味わい、ジワジワっと口腔壁を締めるタンニンの収斂味。

 

このキュヴェは2010ヴィンテージを3年前に飲んでいます。

https://tsuredsurewine2.blog.fc2.com/blog-entry-3034.html

 

4 “Emma’s Block” Mature Vine Pinot Noir 2016

 

Emma’s Fieldはワナカ湖に面した畑でシストの砂利に粘土が混ざっている。山から吹き降りて、ワナカ湖の上を渡ってきた風が直接吹き付けて、Tinker’s Fieldよりも冷涼な畑。

 

色は3より薄い薄めのルビーレッド。

グラスからは3より強い赤身肉の香り、レッドチェリー、シナモン風のスパイス香、甘いミルク香。全体的に3よりフィネスを感じさせる香り。

口にすると、3より力強い甘み、3より軽い苦み、中程度からやや強めの酸、

 

5 “Tinker’s Field” Mature Vine Pinot Noir 2016

 

Tinker’s Filedは北向き斜面で、土壌は粗いシストの砂利。小島によって風が直接当たらず、Emma’s Blockと比べて温暖な畑。

 

色はやや薄めのルビーレッド。

グラスからは、シナモン、化粧香、ブラックチェリー、甘草、赤系果実、甘い香り、赤身肉。

口にすると、豊かな果実の甘み、舌をギュッと締めるタンニンの収斂味、やや強めの苦み、厚みのある噛める様な味わい。

 

 

続いて、バックヴィンテージのピノ・ノワール

6 Rippon” Mature Vine Pinot Noir 2009

 

エッジにオレンジ色が入る薄めのルビーレッド。

グラスからは、赤身肉、白粉香、ブラックチェリー、赤系果実、熟成によって、エロティックな香りが出てきています。

口にすると、豊かな果実の甘み、たっぷりとした果実の旨味、やわらかなタンニンの収斂味。

とても享楽的な味わい。

 

バックヴィンテージのリースリング。

7 Rippon” Mature Vine Riesling 2013

 

色はやや薄めのストローイエロー。

グラスからは、オイリーなミネラル(ペトロール)香、黄色い花と黄色と白の果実香。

口にすると、豊かな果実の甘みと、たっぷりとした旨味、中程度からやや強めの酸、厚みのある味わい、キュッと口腔壁を締めるポリフェノール。

 

2014を3年前に飲んでいます。

https://tsuredsurewine2.blog.fc2.com/blog-entry-3086.html

 

80%が接木なしの自根の葡萄というのはびっくりでした。

それほど離れたはいないのに、Emma’s BlockとTinker’s Fieldで出来てくるワインのキャラクターの違いが際立っていて、Micro-climateと土壌の影響の大きさに感心しました。

 

この日テイスティングしたワインを特別価格で販売とのことで、2と6を一本ずつ買って帰ろうと思いましたが、6は出遅れて買えず、2と7を買いました。よく考えたら、 リッポンの主要品種のピノ・ノワールを買っていない。4か5も買ってくればよかったかなあ。