今さらだけど、今日は童話。サン=テグジュペリ「星の王子さま」。
これは私が知っているV神父が大好きな本。でもまだ読んだことがなかった。読む機会を逃したまま大人になり、今更感が強かった。
神父の部屋には、自分で集めたり信者からプレゼントされた、「星の王子さまグッズ」が沢山飾ってある。
神父になってからの50年間の殆どを、異国である日本で過ごしたV神父は、今年日本での役目を終えて帰国される。
カトリックの神父には、まるでサラリーマンのように「異動」がある。
前任の教会からの異動で、こちらの主任司祭になられたのは5年前のことだった。
当時教会には前任のC神父のカラーがとても強く残っていて、V神父は結構苦労なさったのではないかと思う。
前任のC神父もとても素晴らしい人だったのだけれど、何せカラーが違いすぎた。
C神父は、大柄で神父としては比較的若く(この世界でも高齢化は問題です)、「待ってたよー!、よく来たねーー!!こちらにいらっしゃいよー!!」と言ってハグするような、非常にオープンな人だった。
一方の今度帰国するV神父は、小柄で穏やかで物静か(よーく見ると、キラキラした悪戯っ子の様な目に気付くけれど。夏はウィンドサーフィンを、冬はスキーを楽しむ、実は超の付く程のスポーツマンでもある)。
「謙遜」と「家族の愛」を尊び、お説教には「おしん」なんかも登場してしまう。
前任のC神父の時には、大勢いた若者達が見る間に減り、逆にお年寄りの姿が目立つようになった。
でも、先日行われた「金祝を祝う会(神父になって50年を祝う)&お別れ会」は、老若男女入り乱れての大盛況だった。
この5年間でじんわりと神父の人柄が伝わったのだ。
で、そんな神父が大好きな、「星の王子さま」。
「お別れ会」に出た心のまま、読んでみることにした。
遠い星からやってきて、地球の砂漠でヘビやキツネ、飛行機乗りのぼくに出会った王子さま。これはそのまま神父の姿ではなかったか。
テレビもネットも今のように発達していなかった昔、神父は船で二週間かけて、日本にやって来た。しかも初任地は青森で、昔だから訛りもきつかったのか、「せっかく東京で二年間習った標準語は殆ど役に立たなかった」そう。
有名な言葉、「かんじんなことは、目に見えないんだよ」。
王子さまが自分を飼いならすと互いに離れた関係ではいられなくなる、面倒を見た相手には責任があるんだ、というキツネ。
私にとってもV神父の母国は、そのことを考えると何かほっこりと温かくなる場所になりました。
日本という国もV神父にとってそうなってくれるといい。
私が生きてきた時間よりも長い時間をこの地で過ごしたのだから、もう当然そうかな。
帰国後、暫く勉強期間(まだまだ勉強したいことがあるそうです!ちなみに御歳75。)に入られる神父さま。
V神父の帰国後の日々が実り豊かなものであることを祈っています。
外国の神父さんのお説教なんて分かるの?と思われるかもしれませんが、平易な言葉を用い、決して巧い話ではないところが、かえって心に伝わったように思います。
大切なのは理屈じゃなくて心で感じることだと思う。
逆に日本の神父さんの難しい教義の話なんかは、ちっとも分かりません…(いいのか、そんなんで。でも分からないものは分からないのだから仕方ない)。
著者: サン=テグジュペリ, 内藤 濯
タイトル: 星の王子さま