先週の話。
発達支援センターで電車に乗って出かけるイベントがありました。長男は電車を見るのも乗るのも好きだけど、依然としてメンタルが崩れた状態だったので、イレギュラーなことは拒否する可能性があって。マンツーマンの個別療育だから最悪一人居残りでも構わないかな？と思いつつも、念の為確認しておこうと事前に電話して状況を伝え、
「もし行けなさそうなら、長男だけセンターで過ごすこともできますか？」
と聞いたところ、
「それは全然構わないですよ〜」
と言われたので、園を早退してとりあえず連れて行くことに。
長男は私が迎えに来ると控えめに、でも嬉しそうに笑いました。センターの写真カードを見せるとすんなり車に乗り、着くとこれまたすんなりと建物内へ。
でも、いつもの絵本コーナーに座って上着もそそくさと脱ぎ、出かけるなんて雰囲気ではない。というか、そもそもイレギュラーな出来事を伝えるすべがないから、今日が電車でお出かけの日ということすら理解できてないんだよね。
「長男くん、せっかくだし行こうよ、楽しいよ〜」
と担任の先生に誘われても、先生の膝にもたれながら絵本の世界に没頭。
「うーん、難しいかなぁ」
と私と担任の先生で話しているところに、児発管の先生が登場。
「お母さん、私も一緒に連れていきますから」
と私に話しかけ、
「長男くん、行こう」
と、割と強めに声を掛けながら手を引きました。すると長男は急にシクシクと泣き出し、他の先生の膝にすがりつきました。メンタルが落ちてくると少し強めの言い方に過敏反応するんだよね（担任の先生はふわ～っとした話し方をするので、長男と相性がいいみたい）。
児発管の先生は何度か、
「駅に行こう」
と泣く長男に話しかけますが、長男は声を掛ければ掛けるほどうずくまり、顔を上げません。
──うーん、ちょっとこの感じは行かない方がいいかもしれない。
「あの、もしよければここで落ち着くまで待ってやってもいいでしょうか？本人が自分で立ち上がるなどして行く気になれば、時間的に電車は乗れなくても駅までは行けるかもしれません…最近の様子を見てると、ここで無理くり連れて行くと後から崩れるかもしれないので…」
と私が言うと、児発管の先生は分かってくれて、先に行きますね〜と出ていかれました。しばらくすると長男は泣きやみ、担任の先生に抱っこされながら窓の外を見て気持ちを立て直していました。
コロナ禍でずっと中止になっていたので、数年ぶりのお出かけイベント。行けなくて残念だけど、長男にはその残念さだって分からないもんな。
お迎えに行くと長男はいつもの表情を取り戻していて、担任の先生にベッタリ甘えつつ、楽しそうにおもちゃを広げて遊んでいました。駅には行かなかったようです。
「お母さんの言う通り、ここで過ごして良かったみたいだね」
と言ってもらえたことで、ホッとしました。
こういう場合の判断ってとても難しい。
メンタルがいつも通りだったら、手を引いて立ち上がらせて連れていけば楽しめたかもしれない。でも、これだけ不安が強い状況で、かつ通い慣れた場所で大好きな先生にやりたくないことをやらされたら、本人の中でそれが強く不快な記憶として残り、信頼関係が崩れる可能性もあったし。
連れてきて本人の様子を見て、やっぱりダメっぽいなというただの母親の勘みたいな判断だったけど、案外迷ったらそういう感覚的なものに従ってみるのもありかもしれないなと感じました。
にしても、長男が泣いていても児発管の先生が強めに促したことに、ちょっとだけモヤッとしてしまいました…先生はプロだし、そういう対応が効く子もいるのかな？
***
以前児童精神科の先生に、
「ワガママで泣いているのか、不安や不快だから泣いているのか分からないんです」
と相談したことがあります。先生は、
「それはねー、分からないと思います(笑)」
とはっきり言われました。
泣けば嫌なことから逃れられたという誤学習をするんじゃないかという懸念があると伝えると、やはり長男みたいに発語もまったくない子は泣くことで訴えている部分もあるので、泣いたから何かをやらせることをやめることが必ずしも誤学習につながるわけではないと教えていただきました。
先生に言わせると、一番いけないのは大人の言動が一貫しないこと。はっきりと「◯◯します」「◯◯しません」などと大人が言った場合、泣いたからとその言葉を翻すのが一番の悪手だそうです。
もちろん大前提として、その課題が子どもに適したものでなければいけないけど。たとえ大人が一貫した態度を取ろうが、本人にとって難しいことをやらせていたら成功体験も積めず自信も無くしてしまうので、本末転倒になってしまう。親としては、我が子のレベルを客観的に見極めないといけないというわけです。
長男は園でもゆったりと過ごさせてもらって、今週は少しずつメンタルが上向きになってきつつあります。春は落ち着かないよね。