役所から児相の一時保護を勧められるも、今はそれを利用するべきタイミングではないと判断した私たち夫婦。
しかし、自身の体調はあまり良くないのでレスパイト(休息)ケアを目的としてのショートステイ先を探してみることにしました。

発達支援センターに聞いてみたところ、
「この辺りには子どもを専門で受け入れているショートステイはないけれど、A施設で20年以上前に幼児の受け入れをしてくれたことがあったよ」
と教えてくれました。20年以上前というと、児発や放デイの制度がなかった時代です。果たして今は受け入れてくれるのか??

A施設は昔ながらの障害者入所施設で、日中一時支援もしています。現在利用しているのは成人の方ばかりで、利用者の平均年齢は60代。場所はそんなに遠くない。
旦那に意見を聞いてみました。

──障害児対応のノウハウを持っているような子ども専門の施設ならいいけど、大人ばかりの施設に預けるのは職員さんも慣れてないだろうから心配。大人と言っても高齢者ばかりのようだし、そのような場所に5歳の長男を預けるのはなんだかかわいそうな気もする。でも、仕方ないんだろうな。自分が普段見ていないからそう思うのかもしれない──

なるほど。私もその気持ちはよく分かります。
幼児と高齢者は全然違うものね。
でも、お話だけでも聞きたいので、A施設に連絡を取ってもらうことにしました。子どものショートステイは市内でもあまり前例がないので、発達支援センターの児発管の方が問い合わせの窓口となるそうです。

A施設の担当者の方は感じの良い方で、
「こちらはかなり高齢の方が多いので、施設に来られるとビックリさせてしまうかもしれませんが…」
と言われたそうです。お話だけでも伺いたいと伝えたところ、検討してみますとのことでした。連絡してから3週間以上経ちますが、返事はまだ来ていません。やっぱり望み薄かな…。

児発管の先生が他にもいろいろと問い合わせてみてくれたのですが、年齢で断られたり、コロナ禍でショートステイ事業をやめてしまっていたりで、全然見つかりません。

児相を通してショートステイを利用するという事例も教えてもらいました。一時保護ではなく『計画保護』と言うそうです。ですがその場合施設は選べず、かなり遠方になると言われました(車で片道2〜3時間)。長男はそれほど長く車に乗っていると怒り狂い出すので、どうなんだろうと考えてしまいました。
あと、高速利用で1時間ちょっとの場所にあるB施設は幼い子どもも預かってもらった事例があるそうです。ただ、日中一時支援で慣らしてからの利用となるので、通うのが難しいかもしれません。あまりおすすめしないと言われました。

もうだめかなと思ったところ、メールで問い合わせていたC施設が「お話だけでもお聞きします。お子さんを連れていらしてください」と返事をくれたそうです。児発管の先生も同席することに。

車で30分程度の場所でしたが、私の体調的にも不安なので、旦那の休日に運転してもらって行きました。

C施設のことは情報が少なかったのでほとんど何も知らないで行ったのですが、着くと普通のグループホームでした。扉には鍵はかかっておらず、共有のリビングやキッチンには物がたくさん置いてあります。長男は最初警戒していたものの、すぐに探索を始めます。勝手に人の居室に入ろうとしたり、お風呂に入っていったり、水道の水を出したり、勝手にあちこち開けようとしてました。

ここは無理だ。
長男にとって危険すぎる。
職員さんも長男にベタ付きになって、何もできない。
大体グループホームは、世話人の支援を受けながら共同で自立した生活を送ることが前提の施設だから、ある程度自分のことは自分でできるとか、飛び出しや脱走や異食や他害がないとか……そんなレベルでないと利用できないよね。
そもそも長男は、多分成人してもグループホームは無理だと思う。施設だろう。

やはり利用者の平均年齢は60代。利用者の女性もいらして、長男や次男に声をかけてくれたり、居室を見せてくれました。幼い雰囲気でしたがちゃんと会話もできるし、障害があると言っても自立されているんだろうなと感じました。

職員さんも長男を見て少し戸惑ったような雰囲気になったのを感じ取った私。聞き取り調査を受けながら、なんだか肩身が狭い思いになってしまいました。
だって、聞き取りと言っても良いことなんて一つも話せないんだもの。食事も排泄も入浴も身支度も全介助で、多動や異食や脱走や物投げがあって、1分も目が離せない。寝かしつけも必要。グループホームは一人部屋だけど、部屋に一人になんてしておけない。

走り回る長男を見ながら、
「何かこれがあれば大人しくできるというものはありませんか?おもちゃとか、動画とか」
と聞かれました。
「いえ…ないです。電車の絵本は好きですが、集中してずっと見ていることはできません。家でもこんな感じで走り回ってます」
「そうですよね。そういう(見せれば大人しくなるような)ものがあればショートステイを利用したいとは思われませんよね」
職員さんは察してくれたようでした。

「こちらは、ギリギリの人員配置でやっておりますので…安全にお預かりできるかどうか検討してからお返事させていただきます。お返事は、〇〇さん(児発管)にお伝えさせていただきますね」
と言われ、挨拶して車に乗り込みました。

旦那に感想を聞いたところ、私と同意見。
…グループホームは無理。
長男の安全が確保できない。
預かると言われても怖くて預けられない…
だから旦那も、先方が断りやすいように長男の困りごとをいろいろと話したようです。

にしても…児発管の先生も、施設側には長男の年齢ぐらいしか伝えていなかった様子。もちろん年齢も受け入れ基準だけど、療育手帳の等級とか、生活で必要な介助レベルを簡単に施設に伝えておいてもらえたら、みんな無駄な時間を過ごさずに済んだのに…と旦那はこぼしてました。
私たちだって、はなから受け入れが無理そうなところに見学に行きたくない。心が折れる。施設の職員さんだって忙しい中時間を削って対応してくれたというのに、本当に申し訳なさすぎた。なんだか、こんな手のかかる子を預けようと考えてしまってすみません、みたいな気持ちになり、落ち込みました……。

やはり現実的に、今現在(5歳)の時点でショートステイを使うのは難しいかもしれません。もちろん使えればありがたいけれど、いろいろ考えると家で見るしか選択肢はないような気がする。何より長男に負担をかけてまで利用したくない。そして、そう考えられるということは、私はまだまだ余裕があるのかなとも感じます。とりあえず、日中の預かりだけで何とか頑張ろうかなと考えるようになりました。

今回唯一良かったことは、長男は初めての場所でも親と一緒なら割とすぐに慣れるという事実が判明したこと。

旦那は、
「例えばあなたの弟夫婦や妹夫婦などと一緒に、田舎のコテージとかでお泊まりとかしてみよう。旅館やホテルは備品を壊されそうだし、迷惑もかかりそうだから難しいけど。そうやって、外での外泊に慣らしてみよう」
と、提案をしてくれました。

長男は自閉症と診断されてから一度も外泊したことがありません。遠方の旅行ももちろん皆無。ちなみに次男も同じです(次男は問題なく外泊できると思いますが)。

まずは家庭で慣らしてみないとね。
いつか来る、家からも親からも離れる夜のために。

※コメントは開けますが、返信は遅くなるかもしれません。いつも長文を読んでくださって、ありがとうございます。