この記事は、
の続きです。

小学校の同級生で、軽度知的障害をもっていたと思われるタカシくん(仮名)の話です。

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時は流れ、成人式の頃に小学校の同窓会が開かれました。卒業時に制作したタイムカプセルを開けようという企画でした。

タカシくんは、来ていませんでした。
幹事の子は声を掛けたと言ってたけど。

カプセルの中身は懐かしくて。
そのまま自分の入れたものは持ち帰り、来ていない子のものは担任の先生が預かることに。
「今日来てない子に会う予定があれば、頼まれてくれないかな?」
と先生が聞いていたので、何を思ったのかタカシくんのぶんを預かる!と申し出た私。
私とタカシくんは家が近く小学校時代は仲も良かったので、あっさり託してもらえました。

後日、タカシくんの家を訪ねました。
出てきたお母さんは驚いた顔をしながらも、わざわざ来てくれてありがとうと言い、すぐに彼を呼んでくれました。

出てきたタカシくん。
7年ぶりでした。
背はずいぶんと高くなり、髪もちょっと伸ばしてたけど、あとは変わってなかった。すごく照れていて、一言も喋りませんでした(笑)
そりゃそうか。7年ぶりに会うクラスメイト、しかも異性が家にアポなしで来たら、シャイな男の子ならビックリして喋れないわ。

元気そうで良かった。
同窓会で会えなかったから。
急に来ちゃってごめんね。

そう伝えて、預かったものを渡しました。
「ほらタカシ、○○ちゃんが来てくれたんだから何か言いなさいよ」
とお母さんが言ってくれたけど、やっぱり照れた顔で黙ってる。でも、私が帰るまで玄関にいてくれました。

転校後のことや、今どうしてるかは聞きませんでした。会えただけでほっとして。
転校前、最後に別れた時のタカシくんの表情が淋しそうだったから、心の片隅でずっと気になっていたんだと思います。

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タカシくんと学んだ6年間は、たしかにインクルーシブ教育(障害がある人と障害がない人が共に学ぶ仕組み)そのものでした。
今にして思うと、生きていく上で大事なことがたくさん詰まった、私にとっては貴重な学びの日々でした。

タカシくんは、私たちと一緒に普通学級で過ごせてよかったと思ってくれているかな?もうちょっとサポートがある環境の方がよかったのかな?
それは、タカシくんにしかわからないことだし、選ばなかった選択肢の結果を見ることは誰にもできないけど。
普通学級か通級か支援学級か支援学校か…進路選択が悩ましいテーマなのは理解できます。私もなんだかんだで悩むんだろうな。

中学校はともかく、
小学校は楽しく過ごせていたと思いたい。
タカシくんの友達として。
そして、子を持つ母として。


私自身が地元から離れた県外に移ってしまったので、もうそれ以来会ってないけど。
タカシくんの居場所がどこかに今でもちゃんとあるといいな、と願っています。

長い思い出話にお付き合いくださった方、ありがとうございましたおねがい