赤都と初めて話した時の事は覚えていない。


人懐っこくて、いつでもニコニコしていた。


仕事の関わりは特になく、同じフロアーというだけ。


でも赤都はよく廊下で話し掛けてきた。


たわいもない事だったと思う。




当時の仔犬彼氏は束縛がスゴい人で


よく、仕事終わりに私の会社前で待っていた。


私は上司に見付かるのが嫌で、何度も断ったが


【あの男性は月紫の彼氏】


というのが知れ渡っていた。



「いつも彼氏迎えに来るよね」 


よく赤都にそう言われたのを覚えている。


私は恥ずかしいのと、毎回同じネタでからかってくるのが嫌で


「あ…はい」


いつも素っ気なく返答していた。