橋本治子の弁護士日記-仙台より-

橋本治子の弁護士日記-仙台より-

さまざまなトラブルを解決まで全力でサポートします。
弁護士に相談すべきかわからないという方も、まずはお問い合わせください。
仙台弁護士会所属。

 

    
普段の生活の中で

あれ?って思うこと
 

お客様から

よく質問されること
 

そんなあれやこれやを

弁護士の目線から書いていきます 

 

 

 

また、痛ましい事件が起きました。

 

 

栃木県の住宅に強盗が押し入り

在宅中だった女性が亡くなった

という報道がありました。

 

 

亡くなられた方の

ご冥福をお祈りします。

ご遺族の方々の心痛は

いかばかりかと思います。
 

 

 

 

 

今日は
「強盗」という犯罪が
刑法上どのように扱われているのかを

書いていきたいと思います。

 


 

 


「強盗」とは

暴行や脅迫によって

相手の反抗を抑えつけて

財物を奪う犯罪です。

 

 

つまり、強盗は
単に「物を盗む」犯罪ではありません。

 

 

最初から

人の身体や生命に対する危険を

強く含んでいる犯罪で

ここが「窃盗」との違いです。

 


そのため、強盗の場面で

人がけがをしたり

亡くなったりした場合

刑法は非常に重い刑を定めています。

 

 

 


 

 

 

 


 

故意に人の命を奪う犯罪に

「殺人」があります。

 

 

法定刑を比較しますと

殺人には有期刑の余地がありますが

強盗致死には有期刑がありません。
死刑か無期拘禁刑です。

ものすごく重い犯罪です。

 

 

 

【殺人】

死刑又は無期若しくは

5年以上の拘禁刑

※拘禁刑の上限は通常20年ですが

 加重事由があると30年です。

 つまり「5年以上」というのは

 「5年~20年、30年」という意味

 

  

 
【強盗致死】
死刑又は無期拘禁刑 

 

 

 

また、殺人の場合は

そこに至る経緯を考慮して

例外的ではありますが

執行猶予がつく場合もあります。

 

 

しかし、強盗致死の場合は

法の定めにおいて

執行猶予がつくことはありえません。

 

 

 

 

 

次に

故意に人を怪我させる犯罪に

「傷害」がありますが

法定刑を比較してみましょう。

 

 

 

【傷害罪】

15年以下の拘禁刑又は

50万円以下の罰金

※拘禁刑の下限は1か月なので

 「1ヶ月~15年」の間で刑が決まります。

 

 

 

これに対して
強盗の結果、人にけがをさせた場合は
「強盗致傷罪」となります。

 

 
【強盗致傷罪】
無期又は6年以上の拘禁刑 

※拘禁刑の上限は通常20年ですが

 加重事由があると30年です。

 つまり「6年以上」というのは

 「6年~20年、30年」という意味

 

 

 

 

また、刑法には

「事後強盗」

という罪があります。

 

 

窃盗犯が

・物を盗んで取り返されることを防ぐため

・逮捕を免れるため

・罪跡を隠滅するため

暴行又は脅迫をしたときは

「強盗」と扱われます。

これを「事後強盗」といいます。

 

 

そして、暴行の結果、被害者が

怪我を負ったり亡くなった場合は

「強盗致傷」「強盗致死」となります。

 

 

窃盗罪と傷害罪・殺人罪ではありません。

強盗致死傷罪です。

 

 

当初は「物を奪うだけ」

というつもりだったとしても

その機会に被害者に死傷させたら

とても重い犯罪となるのです。

 

 

 

なお、報道では

逮捕された中に

16歳の未成年がいるとのこと。
 

 

16歳であっても、強盗致死の場合は

原則、家庭裁判所から検察官に送致され
刑事裁判を受けることになります。

いわゆる「逆送」です。

 

 

ただし、犯行時18歳未満の場合は

死刑は科されません。

 

 

 

 


 

なぜここまで

「強盗致死傷」の刑は重いのか。


繰り返しになりますが、それは

強盗という犯罪が

そもそも人を死傷させる危険性を

非常に高く含んでいるからです。
 

 


犯人が被害者を押し倒す。
被害者が抵抗する。
犯人が逃げようとして暴行を加える。
高齢者や体の弱い方が転倒する。
刃物や鈍器が使われる。
複数人で押さえつける。

 


刑法は、その危険性を前提に

強盗の結果として人が死傷した場合を

特に重く処罰しているのです。



 

 

だいぶまえになりますが

強盗致傷事件の

刑事弁護をしたことがあります。

いわゆる「おやじ狩り」と言われる事件。

 

 

幸いに、後遺症が残るような

怪我をした被害者はいませんでしたが

判決は懲役10年くらいだった

と記憶しています。

 

 

当時、被告人は20代。

出所する頃には30代半ば。

 

 

 

20代から30代は

社会に出て仕事に打ち込んだり

生涯のパートナーとなる人と出会ったり

興味のあることに勤しんだり

そんな時間を過ごす人が

多いように思いますが...。

 

 


その大切な時間の多くを

刑務所で過ごすことになる。

 

 

 

犯罪は
被害者の人生を傷つけるだけでなく
自分自身の人生も

大きく壊してしまうことだと思います。
 

 

 

 

 

 

昔々、19世紀には

犯罪者には生まれつきの身体的特徴があって

犯罪に陥らざるを得ない「生来犯罪人」がいる

などと考えていた学者もいました。

 

 

 

しかし

生まれておぎゃあと泣いている

赤ちゃんの時点で

「この子は将来、犯罪者になる」

と決まっている人などいないはず。

 

 

 

そうなると

他の生き方はいくらでもあるのに

なぜ犯罪という行動の選択をしたのか。

どのような環境で育ち
どのような人間関係の中にいたのか。

 

 

よっぽど生きているのが

楽しくないのだろうなと思いますが

その背景を考えることも

必要なのではないかと思います。

 

 

 

もちろん、犯罪を犯した人は
自分のしたことについて

責任を負わなければなりません。

 

 

 

被害に遭われた方や
ご遺族の苦しみを思えば
その責任は非常に重いものです。

 

 

 

犯行に背景があれば許される

ということではありません。

どのような事情があっても
人を傷つけてよい理由にはなりません。

 

 

 

でも
「怖い」
「許せない」
「厳しく罰してほしい」
だけで終わってしまうと
不安や怒りは残っても
同じような事件を減らすことには
つながりにくいのではないかと思います。

 

 

 

厳しく処罰すること。

事件の背景に目を向けること。

 

 

 

簡単に答えの出る話ではないと思いますが

「なぜ、起きたのか」について

安直な通り一遍な説明ではなく
考えていくことが必要だと思います。

 

 

 
免責事項:本記事は執筆時点の法令・判例等に基づく一般的な情報提供を目的としており、特定の事案についての法律意見・法的助言を提供するものではありません。個別事案についての対応は必ず弁護士にご相談ください。

------------------------------

ダイヤオレンジ法律相談はこちらから

 

ダイヤオレンジ講演・研修講師、その他お問い合わせはこちらから

 

ダイヤオレンジ弁護士橋本治子ホームページはこちら

 

ダイヤオレンジ弁護士法人官澤綜合法律事務所ホームページはこちら

(弁護士橋本治子所属事務所)