物語ではない本を読んでいたので間が空いてしまった。
重松清、初めて手に取った。木曜日の子ども、タイトルからして気になっていたのだけど、嗅覚に狂いはなかった。
なかなか厚みがあるけども、読んでみるとスッと引き込まれて苦にならないボリューム。
中学生が給食に毒物を混ぜて同級生を9人殺すという殺人事件があった街が舞台。
中学生の息子をもつ会社の同僚の女性と結婚し、突然父親になることになった主人公が、家族3人でその街に引っ越してきた。

街は静かなニュータウン。事件から7年経っても街からその気配は消えることはない。

ちょっとしたスポットになっていた犯人の家があった場所で、息子がその犯人と見間違われるところから、嫌な気配が漂ってくる。そして3人が引っ越してきたタイミングは、かつて少年だった犯人が刑期を終えて出てきたタイミングでもあった。

ずっと主人公の“父親“になろうとする葛藤が描かれていて、最後はハッピーエンドとは言えないけど私としては納得のいく最後だった。

登場人物の、特に男性たちの人物像がしっかりと描かれている。物語の中で人が死ぬ場面が多くて命とか死とかが常に中心にあるけども、親子の物語だなと思う。とてもずっしりとした物語だった。読んでいて想像した風景とかシーンが映像として頭の中に残る作品だった。