私が見た「夢」ー月松橋新刊と”「Sirius Chord」の命名理由”ー | 「月松橋」活動報告

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同人団体「月松橋」です。

■はじめに

 

このブログでは事後報告になってしまいますが、去る11月23日に月松橋は新刊「Story of Comrade」を発行しました

この本は、デレマス10周年アニバツアーの愛知公演で新曲「Drastic Melody」と共にサプライズ披露を恐らく予定されていながら、COVID-19の感染状況を踏まえた延期対応によって予定通りのお披露目を逃した新ユニット「Sirius Chord」を題材とした、凛&凛専任Pを中心とした二次創作小説本です。

 

 

「Drastic Melody」イベント後、わずか二ヶ月で二次創作同人誌を出した根本理由は、新刊のあとがき冒頭にも書いた通りです。一人の凛専任Pとして、「私が今以上に『Sirius Chord』を好きになれる、そんな小説を読みたいし書きたい」「その小説を世に出すことで、一人でも多くの同僚に『Sirius Chord』の可能性をより深く感じて貰いたい」「叶うことなら愛知延期公演前に感じて貰いたい」との想いが、その根本理由です。

 

↑「Story of Comrade」あとがき冒頭部分(本編のネタバレになる部分はぼかしています)

 

さて、この新刊の宣伝ツイートの中で私は「【Sirius Chord】と命名された理由にひとつの答えを出した」と申し上げましたが、そもそもなぜ(原作中では明確に語られることのなかった)この命名理由が気になったのかの訳は説明していませんでした。本当はあとがきでこの話もしたかったんですが……この話がなくても今回のあとがきちょっと長かった(216p中7pがあとがき)ので割愛したんですよね……。

 

 

と言う訳で。私が「Sirius Chord」の命名理由を考えるに至ったきっかけを……私が「Sirius Chord」と言う名前に感じた「気になったポイント」を、このブログ記事で説明させてください。

 

■気になったポイント①:シリウスは「最も眩く輝く星」か否か

 

最初に私が「Sirius Chord」の名前に対する引っかかりを感じたのは、白雪千夜の[Drastic Melody]特訓エピソードを見た時でした。

 

↑白雪千夜の[Drastic Melody]特訓エピソードの一幕

 

「Sirius」――シリウスとは、「一等星※の中で最も明るい星」としてよく知られる星ではあります。が、それが「最も眩く輝く星」かどうかと言うと、「必ずしもそうではないのでは?」と私は思ってしまったのです。何故なら、「最も眩く輝く(ように見える)星」とは本来、シリウスではなく、太陽のことだからです。

※一般に一等星は「地球から見て一定以上に明るい太陽以外の恒星を示す区分です

 

↑wikipedia「明るい恒星の一覧」より

 

そしてシリウスは、実のところ「眩く輝く星」としては二番手ですらない。何故なら、「星」とは広義には恒星だけではなく、惑星や衛星も含むからです。地球から見た場合、月や金星などはシリウスより明るく見えることがあります(参考)。つまりシリウスは、「太陽以外の恒星の中で、地球から最も明るく見える恒星」とするのがより正確な言い回しになります。

そう考えた時、「このユニットの命名者が、シリウスを『最も眩く輝く(ように見える)星』だと思ってその名をユニットに冠した」とする仮説は、私には受け入れがたいものだったのです。だとすれば、何か別に理由があるのではないか……そう思わずにはいられなかったのです。

 

■気になったポイント②:このユニット名は「Canis Major(おおいぬ座)」ではない

 

シリウスと言う星の特徴は、明るさ以外にもあります。「おおいぬ座」を構成する星のひとつである、というのもその特徴のひとつです。そして、「Drastic Melody」イベントで使用されたアイテム「サケビースト」は、名称から受ける印象はともかく、その形状、その説明文からは「おおいぬ座」を意識していることが明々白々です。

 

名称から受ける印象はともかく。

 

と言う訳で、「このユニットの命名者は、シリウスが『最も眩く輝く(ように見える)星』だと思ってその名をユニットに冠した」との仮説の確からしさが弱いならば、次に「このユニットの命名者は、シリウスが『おおいぬ座の星』だからその名をユニットに冠した」との仮説を立てることは可能です。立てるだけなら。

 

……しかし「おおいぬ座」に主な意味を見出すなら、そのものずばり「おおいぬ座」と言う意味のユニット名を付ける方が素直な考え方のはずです。「おおいぬ座」と言うユニット名はあまりにまんますぎるとしても、英語由来で「Canis Major」あるいは「カニスメジャー〇〇」等のユニット名を付ける分には字面的にもそこまで悪くはないはず……。

よって、「このユニットの命名者は、シリウスが『おおいぬ座の星』だからその名をユニットに冠した」との仮説も、どうも弱いと私は感じざるを得なかったのです。であればますます、「Sirius」の名前の意味は何なのか、疑問は膨らみます。

 

■気になったポイント③:「Triad Primus」との類似性

 

このユニット名に「Sirius」が冠されたことに謎があるなら、そのユニット名に「Chord」の単語が入っていることにも謎があります。

デレステユニットは複数の単語を組み合わせた名前を与えられたものが比較的多いですが(参考)、「アインフェリア」「miroir」のように一単語がそのままユニット名になった例も存在します。他ブランドの例で言えば大先輩たる「Jupiter」さんもそう。

そう考えると、渋谷凛・白雪千夜・松永涼のユニット名を「Sirius」もしくは「シリウス」とする選択肢もあり得たはず。しかし、そんな場所に現れたのが「Sirius Chord」と言うユニット名だった訳です。「Drastic Melody」イベコミュのエンディングタイトルが「Three Chord」(敢えて日本語訳するなら恐らく「三つの和音」)であり、そこで(外部の記者の台詞と言う形でしたが)「3人でユニット『Sirius Chord』でしょう」との意見表明が行われたことからも、「Chord」=英語で「和音」を指すこの単語がユニット名に込められた重みは大きいものと解せます。

 

↑[Drastic Melody]コミュ一覧

 

ここまではスムーズに進む話なのですが、この「Sirius Chord」が凛を含むユニットの名前であることに改めて着目した時……「凛が所属するユニット」の名前に「和音」があることを見た時、どうしても思い出さずいられない事実があります。凛が最初期に所属したユニット「Triad Primus」の「Triad」とは、三つ組のものを指すラテン語であり、「三人組」や「三和音」のことを指します。そう、和音です。

そして、「Primus」は「最高の」と言った意味の単語です。「Sirius」は必ずしも最も眩い星ではない、との話は先ほどしましたが、それでも「Sirius」が「太陽以外の恒星」の中であれば「地球から最も明るく見える恒星」であることは揺るがぬ事実。無条件の「最高(最明)」ではないので「完全に一致」とまで評価するのは誇張でしょうが、それでもだいぶ近似している単語ではあります。

 

つまり「Sirius Chord」と「Triad Primus」は、どちらも二単語で構成されるユニット名であり、しかも意味が類似した単語同士の組み合わせなのです。

 

↑比較

 

類似したユニット名が出て来ること自体は、これだけユニット数が増えた今なら当然に起こり得るとは思います。しかし、「名前が類似した二つのユニット、その両方に所属している者(=凛)がいる」と言った瞬間に、その事象が偶然起こる確率は急上昇するはずです。

凛専任Pとしてのひいき目がある可能性は否定しませんが、その上で、私にはこのことが偶然とは思えない。何か理由があるはずだ、そう思わずにはいられないのです。

 

■私の「答え」、私の「夢」

 

ここまで御託を並べては来ましたが、実際のところ(フィクション世界でもリアル世界でも)「不自然に見えることが何かのはずみで起こること」はよくあります。(ゲームの主人公キャラとしての)デレステPやデレステの原作サイドが何を考えて「Sirius Chord」の名前を付けたのか、具体的なところは結局のところ現状"藪の中"ですし、いつかその藪が明らかになったとしてもその真相は私が感情的には納得できないものである可能性も当然あります。

私が作品の一方的な受け手であれば、この話はここで終わります。ところが幸か不幸か、私は二次創作小説書きなので、自分が納得する「答え」を見つけ出すことさえ出来ればそれを一定の形に出来てしまう。たとえそれが既存の原作世界中では成立不可能な「答え」であったとしても、あるいは事実や規則から逸脱した陰謀論紛いの「答え」であったとしても、世界そのものを作り変えてでもその「答え」を形にする方法=二次創作があることを、知ってしまっているのです。

 

私は、ここまで上げて来た三つの「気になったポイント」全てに対して、自分が納得出来る「答え」を出しました。

正直に申し上げて、この「答え」が原作における「事実」と完全に一致しているとは、私も思いません。ですが、この「答え」が成立する世界の可能性を、見出して形にすることは出来ました。こんな出来事があって欲しいと言う私の「夢」が叶う道筋を見出だすことは出来ました。

この「Sirius Chord」命名にまつわる「夢」が、「Story of Comrade」の後半パートの大きなテーマでありクライマックスになっています。ぜひ、Story of Comrade」を読んで頂き、この「夢」を見届けて頂ければ幸いです。

 

「Story of Comrade」サンプルの抜粋(この二次創作の舞台が原作のパラレルワールドであることがご理解頂けるかと思います)

 

 

なお、この「夢」はあくまで私=一人の凛専任Pにとっての「夢」でしかありません。私の「夢」とは異なる内容の「夢」を私以外の凛専任P・私以外の凛Pが見る可能性は当然にありますし、ましてや千夜の担当Pさん・涼の担当Pさんにとっての「夢」は当然に私の「夢」と異なるものであるのではないかと思います。そのことを私は全く否定しません。むしろ、私の「夢」とは異なる誰かの「夢」の形を、ぜひとも見たいとすら思います。私以外が作り出す「Sirius Chord」の物語を、ぜひとも見たいと思います。

そのためにも、一人でも多くの方に「Sirius Chord」の可能性を感じて頂きたいと、願って止みません。

 

↑「Story of Comrade」あとがき末尾部分

 

私の本が、そして間もなく実現される「Sirius Chord」のライブパフォーマンスが、一人でも多くの方に「Sirius Chord」の可能性をより深く感じて頂けるきっかけになることを心より祈り、この記事の締めとします。