感謝しておりますラブラブ

そして、メリークリスマスクリスマスツリー誕生日ケーキクリスマスベルサンタプレゼント

いよいよ明後日の東京の講演会をもちまして、私の講演会はしばらくお休みをいただきます。
まだ少しお席に空きもありますので、お時間のある方はぜひ、ご参加ください音譜

場所や時間など、詳しくはこちらをご参照ください


そして、このブログで綴ってきた物語ですが、今話が最後となります。

次はまた新たな形で、皆様の物語に触れ、ハッピーエンドへと導くための機会を持てたらと思います。

第五話の最初から読みたい方はこちらへ
第一話はこちらにどうぞ

『しあわせ探偵の事件簿』
第五話:「ものがたり」⑤

「あの〜、私も聞いていいですか?
因果を解消するためには、元々の因果の存在に気づかないと解消されないんですか?」

沙由里の質問に、はなゑは笑顔でこう答えた。

「そんなことないよ。
人は生まれ変わってくるだけで因果は四分の一に減るから、輪廻を繰り返すだけでも因果の解消になるの。
それと、因果のことを知らなくても、相手のことを許せたら因果は解消される。
因果の解消って、簡単に言えば『自分が人にやられて嫌だったことは、人にしない』っていうことだし、自分がやってしまったことに気づくためにあるんだよ。
それを、いつまでも相手のことを恨んだり、『許せない』ってやってると因果は解消されず、自分が苦しくなる。
『因果は巡る』っていうのは、相手に仕返しをしたり、自分がされて嫌だったことを他人にもしてしまうから起きるんだよね。

それと、中には間違った答えを導き出す人がいるの。
正しい答えは『やられて嫌だったことはしない』なのに、『やられた自分は価値がない』っていう間違った答えを出して苦しんでる。
これが原因で自己重要感が下がり、人生がうまくいかなくなる人って、意外と多いのよ。

さらには人にやられたことを、自分が我慢しちゃう人がいるの。
そうすると、自分が我慢するから人にも我慢させる。
だからうまくいかない。
それで『自分はダメなんだ』って思うと、それを証明するような出来事がまた起こって、さらにうまくいかなくなる。
そうやって、不幸な間違いが雪だるま式に増えていって、不幸が大きくなってしまうのよね。

私は、そういう人を見てると言いたくなることがあるの。
『自分が決めてきたことにやられてどうするの?』って」

「危うく僕も、自分が決めてきたことにやられてしまうところでした」

渡部は照れ笑いを浮かべながら、さらにこう続けた。

「でも、はなゑさんの話を聞き、ワークを受けて、ものすごく腑に落ちました。
なんというか、今はもう電光掲示板になっちゃったけど、昔の空港の発着便を示す掲示板がパラパラと変わるみたいに、今まではいつまでたっても揃わなかったのが、今はそれがピタッとちゃんと揃って、自分が乗るべき便がわかったというか、自分が進むべき道がわかったような感じです」

それを聞いたはなゑは大きくうなずき、こう言った。

「渡部さんの人生はこれから、すべてのことがうまくいき出しますよ。
人は自分の価値を知り、相手を変えることをやめて、自分で幸せになろうと決めたとき、全部のことがうまくいくようになってるの。
なぜなら、自分でそういう風に物語をセットしてきてるんだよ」

「ありがとうございます!」

渡部は席から立ち上がり、はなゑに深々と礼をした。

顔をなかなかあげられなかったのは、また涙が溢れてきたからだ。

横でそれを見ていた沙由里も、なぜか涙が溢れてきた。


何度も、何度も、しつこいぐらいにはなゑに礼を言い、渡部は帰っていった。

沙由里も一緒に帰ろうとしたが、はなゑに呼び止められて、戻ってきた。

「なんかね、ウッチーが『もう直ぐ戻るから、それまで沙由里ちゃんを引き止めておいてくれ』だって。
だから、奥の部屋でちょっと、待っててあげて」

はなゑにウインクされ、沙由里は意味もわからずドキッとした。

しばらくすると、内ヶ崎がトレーに二人分のコーヒーとお皿にクッキーを乗せ、入ってきた。

「沙由里ちゃん、待たせてごめんね。
このクッキーさぁ、先日、人からもらって食べたらすっごく美味しくて、それで今日は沙由里ちゃんに食べさせたくて、買ってきたんだよ。
最近来ないから心配してて、これをネタに電話しようと思ってたんだけど、ちょうどよかった!ついてる!」

向き合って座り、お互いにコーヒーは飲むが、クッキーには手をつけようとしない。
上機嫌な内ヶ崎に対して、なぜか不機嫌な沙由里。
いつもと違う態度に気づいた内ヶ崎は「どうしたの?何かあった?」と沙由里に尋ねた。

「ねぇ、ウッチー。優しくする相手が違うんじゃない?」

「え?どういうこと?」

「このクッキーも、私じゃなくて、彼女に食べさせてあげたら?」

「彼女!?俺、彼女なんていないよ。
俺の好きなのは沙由里ちゃんだけだもん」

いきなりの告白に、沙由里はめまいがした。

「でも、この間の電話は何よ!『デート』とか『好きだよ』って言ってたじゃない!」

「この間の電話?
ああ、麻美のことかな。
あれは“いとこ”だよ。
ちっちゃい頃から俺、実の兄貴みたいに慕われてて、今は静岡に住んでるんだけど、今年のクリスマスに彼氏と東京でデートするから、その下見に付き合ってくれって言われたんだよ。
それで、『お土産にうなぎパイ買っていくけど好きか?』って聞かれたから『好きだよ』って答えただけだよ」

沙由里は自分の早とちりに恥ずかしくなった。
それと同時に、改めて内ヶ崎が言った『俺の好きなのは沙由里ちゃんだけだもん』の意味を考えたら、なぜか涙が出てきた。

「え!沙由里ちゃん、どうしたの?俺、なんか悪いこと言った?」

「だって・・・。だって・・・。
私もウッチーのこと、好きなんだもん!」

様々な恥ずかしさがあいまって、沙由里はその場にいることができずに逃げ出そうとした。
しかし、内ヶ崎に左手を掴まれ、グイッと引き寄せられると、両手で抱きすくめられた。

内ヶ崎の胸の鼓動が聞こえる。
すごく早い。
自分のと同じぐらいだ。

沙由里は体で、内ヶ崎が自分と同じ気持ちでいてくれていることを確認した。

「泣かせて、ごめんね」と言って、内ヶ崎が沙由里の濡れた頬にキスをした。

「そこじゃないでしょ!」とは口には出さず、沙由里の方から唇を重ねた。

内ヶ崎とのキスはコーヒーの味がした。

やっぱり、とっても優しい味だった。

Fin.