有料老人ホーム入居支援センター 代表理事 上岡榮信のブログ 「終の棲家通信」

有料老人ホーム入居支援センター 代表理事 上岡榮信のブログ 「終の棲家通信」

国内外合わせて1400箇所以上の施設を自分の目で確かめてきた「老人ホームの目利き」上岡榮信(うえおかしげのぶ)が、老人ホームのことはもちろん、国内や海外で出会った企業・組織・人などの印象深いお話を中心にお届けします。

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1.老後とは、 (介護保険認定の要支援1,要支援2を含む場合もある)

 

自立、健常、元気な、または要支援の高齢者は、体力、気力、記憶力、十分な資力もあり、ニーズ、希望、理想を買うことも、要求すること、実現する人脈、コネなどもある。但し、入居金1億円以上でも、入居は避けるべきホームもあることにご用心。入居時には理想のホームでも、介護、最期まで対応してくれるホームかの確認も重要。

 

 

2.介護のレベルとは、

 

自らが出来なくなったこと、やりたくないことをやってもらう、助けてもらう時期である。不便なこと、不自由なこと、問題、ニーズ、希望を言葉や、文字で表現、要求、伝えることも出来る時期である。介護に何をしてほしいかは、いえるが、どのようにしてほしいかは未経験、未体験の世界でほとんどわからないのが現実である。

 

外国語が苦手で、外国を旅するようなもので、景色や人の動きも見えて、音も聞こえるが、言葉、文化、習慣、歴史、宗教などの違いで、細かな状況を日本にいるようには理解できない状態である。喜寿くらいまでの老化は、問題ないが、体力、気力、記憶力、瞬時の判断力、選択力、初めてのこと、新しいもの反応が低下する老化はみんな初めての世界なのである。30~50年前は、家族、親類、縁者、お隣、近所、町内会、世話好きな人などのみ守り、支えがあったが今はもうない時代なのだ。介護業界の言葉も、習慣、常識も言葉はわかっても、内容は理解できない世界となり、不愉快な、居心地の悪い場所と時間に囲まれる。社会的地位や、学歴、人脈も通じないことに唖然とすることも多い。

 

 

3.最期の意味は、年齢に関係なく

 

体力、気力、意欲、記憶力も低下し、あるいは認知症が重度化し、必要なモノやコト、のぞみ、求めることを、言葉や文字で表現したり、うまくしゃべれない、伝えられない選べない状況である。モノや、コトを言葉や、文字、数字、金額を説明されても理解、認識が無理な状態。誠実な、態度、行動、優しさ、丁寧な、時間をかけてもらうことが有り難く思える状態。質問も回答もムリ、よく見て、よく聞いて、察して欲しい時期である。善良な人、優しい、親切、思いやりのある人達にたよらざるを得ない状況である。

 

 このステージは目隠しをされて過ごす毎日、あるいは暗闇を手探りで暮らす毎日のような不便さと、不自由、不安の日常はストレスである。自らのニーズや、希望、要求を言葉や、文字で伝えられなければ、自分をよく見て、言葉にならないうめきや、傾聴し、行動、仕草から、求めるものを察し、質問や、依頼希望を聞家内でさり気なく、速やかに、あるいはゆっくりと手間、暇をかけてやってくれる人達に囲まれて暮らすことが絶対であろう。人格、人権、尊厳、個性、こだわり、好き嫌いを察して、心得て対応してくれる人こそ大切なのである。幾つかのホームで聞いたのは、認知症が進行した人は、玄関に入るなり、ここで暮らすと意思表示をすることがあるという。同行した家族は見学も説明も受けていないので当然ながら、入居の判断、決定など無理で、ありえないのだが、理性、知性も衰えた認知症の方には、動物的に、本能的に、自分が守られる環境、人間関係、敵対する人達でなく、守ってくれる人を言葉や、契約書ぬきで見抜く力があるそうだ。目が見えて、説明や、契約を聞いて、理解できる人が、入居後訴訟を起こす事もあるが、最期の契約は文字、数字、金額では成立しないことを思い知らされる場面であった。