杜の都仙台から小一時間で、宮城峡蒸留所への送迎を行っている作並駅へと到着。

降りた人が皆待っていたバスに乗り込んだところをみると他に何かあるわけではないらしい。

満席とは言わないまでも、半分以上の座席が埋まり、あと、数分で蒸留所に着くことを考えると、自然、期待が高まる。

天気は早朝からどんどん悪くなり、蒸留所についたころには土砂降り。

池


偶然リュックに入っていた折り畳み傘に自身の幸運をかみ締めながら、いざ、入場。

見学申し込みのカウンターには三人の女性。

朝一ということもあり、なんとなくスイッチが入りきれてない感じ。

10分少々待つと言うことで、小さなホールを見渡す。



正直なところ、この地図を見ても、『なるほど~』としか思えず、掻痒感が高まるだけで、まったく記憶に残らなかった。

そうして、落ち着きのなくホールの展示物を観て回っていると、集合の合図がかかり、
蒸留所の案内が始まった。

かわいらしい女性の小野田さんか小田原さんが今回のガイドになる。

毎日説明しているとはいえ、こうもすらすらと説明ができるのは正直うらやましい。

仮にウイスキーのことを聞きたい人に対して自分がこうも立て板に水のごとく説明できるかといわれれば、できないと断言できる。

最終的には
『飲み続ければわかるよ』と深いのか浅いのかわからない言葉で逃げている自分が思い浮かぶ。

そんなことを考えていると、
最初の見所。
キルン塔に到着。




残念ながらこの中は見れないとのこと。
改まって言われると見たくなるも、術はなく、ガイドさんは先に進んでしまうので、
後ろ髪を引かれつつ、後をついていく。

まぁ、このくらい淡々と進めてもらわないと、時間がいくらあっても足りないだろう。

目に見える範囲だけでもあっちはどうなってる?そっちは何だ?と気になって仕方ない。

が、説明もちゃんと聞きたいし、写真も撮りたい。

あー傘が邪魔と思っているとどんどん先へ進まれてしまう。

集中しよう。


ちなみに先ほどのキルン塔。
あそこは大麦麦芽を乾燥させるための施設になる。
このときにウイスキーのひとつの特徴となる、燻製っぽい匂いをつけるために
ピートと呼ばれる燃料に火をつけ乾燥作業をおこなう。

あまり煙っぽさのないウイスキーはこのとき、ピートを使わないで乾燥させるので、
比較的飲みやすいウイスキーになります。

ちなみに宮城峡(ウイスキー)はあまりピーティな感じがしないので、
かの余市蒸留所とは違うピートを用いているのでしょう。


さて、乾燥が終わった麦芽をどうするのかといえば、今度はぬるま湯につけます。
そうして、糖化させます。糖化させたものを『麦汁』といって、次の段階でこれを
発酵させます。


(・・・・あれ?なんかウイスキーの作り方の説明になってる・・・・)





このマッシュタンの隣の部屋がコンピューター制御室になっており、そこは撮影禁止でした。
ただ、実際に機器が動いている様子をみると、ここでウイスキーが作られているんだという実感がわきます。





発酵が終わると『麦汁』が『もろみ』となり、『もろみ』を蒸留します。

そのとき蒸留するのが、ポットスチルといわれる銅製のポット。

ドラクエのスライムみたいな形をしているといえばしています。


ポットスチル


注連縄はニッカの創業者竹鶴正孝氏の実家が日本酒の造り酒屋であったからと言われています。

このポットの下を加熱し蒸留を行うので、縄が焦げやしないのかとか、焦げないにせよ、劣化が早そうだと思ったりしてしまいます。

ただ、注連縄があるだけで荘厳な雰囲気を感じてしまうから不思議です。

ポットスチル解説図

これで一通り製造過程は終了になります。

いや、終了ではないのですが、あとは熟成となります。

モルトの匂い

この樽では匂いをかげるように上部に穴が開いています。

1月目ではまだ、ウイスキーとは思えないかなり生々しい匂いがします。

5年も経つと、香りがぐっと豊かになり、12年ともなると、香りに重厚感が出てきます。

色もまったく違うのが見て取れるでしょう。

エイジング

ウイスキーは樽に入っている間、年間1~3%気化します。
なので、薄暗くぼけている写真なのでほとんどわからないと思いますが、
25年熟成したものは約半分にまで減ってしまいます。

25年もののウイスキーともなると思考回路が正常に働かず、
『ばーか』としか言えないような値段をしていますが、絶対量が少ない、希少性があるということを考えれば納得せざる終えません。

竣工時のたる

操業当初の樽。
思いのほかここの樽置き場は滞在時間が短く、感傷に浸っていられませんでしたが、
改めて写真で見ることで、しみじみと胸にこみ上げるものがあります。


そういえば、この樽置き場に来るまでに、ちょっとした広場がありました。

そこにポットスチルの頭の部分だけをオブジェとして飾っていたらしいのですが、
現在はもうすぐ始まる『マッサン』のドラマの中で使うため貸し出しているとのことでした。

当然、すべて見るつもりなのでそれがどこで出てくるのか楽しみです。




小一時間のガイドが終わり、試飲です。


そういえば、ガイドさんが言ってました。

朝ドラのおかげで余市蒸留所は観光客がだいぶ増えたとのこと。

『うちはそうでもないですけどね』と、若干の自虐も入れて。

ただ、両方行った事がある身としては、宮城峡の方が見学とお土産という点では良い様なきがする。

まぁ、それも地理的な問題が大きな要因だろうが。


では、次でラストといたしましょう。

試飲からの続きはまた後日、宮城峡 探訪3で。