遂に完結。

長きに渡り読み続けてきた漫画の一つが遂に最終回を迎えました。

出会いは確か朝日新聞で紹介されていた記事だったと思います。

面白そうだなと手を出して、気付けば10年以上連載されていたことになります。

大人になったら漫画なんて読まないと思っていましたが、現在ですら真っ最中と言っても過言ではありません。


さて、感慨を含めてあらすじを思い返して見ます。

時代は江戸時代。

親の敵討ちを誓った少女が一人の用心棒と出会います。

その用心棒の名は万次。
チベットか何処かの秘術、血栓蟲なるものを埋め込まれた不死者。

この2人が仇を探し、次々と敵を倒して行きます。

その敵は、逸刀流なる剣の流派。
彼らは衰退して行く剣術を復興するべく江戸じゅうの道場を次々と壊滅していきます。

その中で少女、凛の親がやっていた道場も潰されてしまいます。

目の前で親が殺されて行くのを目の当たりにし、仇の頭目を眼に焼き付け、父に直接手をかけた相手を、母を陵辱した相手を恨みます。

と、こう書いてしまうと何やらおどろおどろしい物語に聞こえますし、実際おどろおどろしいのですが、そこが読みどころではなく、セリフの言い回しと敵の変態さ加減でしょうか。

仇を追う中で、関所を超える難しさや、幕府による刺客なども出てきて、物語の後半では混戦を極めます。

互いの主義主張を認めながらも恨みは消えず、その中で少女もまた他から恨まれ復讐の対象になったりもします。


この復讐と言うテーマの決着はとても難しい。
1、復讐を果たす。
2、復讐を諦める。
この二つの選択肢から選ぶより他はなく、どちらにせよ物語として成立するには主人公の精神的な成長が必須となります。

なぜならば、復讐に燃え、何の葛藤もせず、感情に任せるまま本願を成就させたとしても、読んでいる側には何も残らない。

ここで思い出すのが、手塚治虫の「鉄の旋律」です。

元々は親友だったはずの男の裏切りに会い、妹を失い、自身の両腕さえも失ってしまう。
その治療に当たった医師は超能力を研究しており、そこで苦しい実験を乗り越え主人公は鉄の腕を操る超能力を得ます。

のうのうと生きている仇を追い詰め、そして…。


私としてはこの結論に勝るものはないような気がします。
詳細は伏せますが、
「こうする他ない」、
でも、
だけど…。

その辺りで言葉が詰まり、物語を受け入れようとします。

それでも、やはり、
でも、
でも、
やっぱり、
でも、まぁ…

と引きずられていきます。


では、話を戻して、この10年以上に渡る復讐譚を終わらせるにはどうするべきなのか?

主要人物たちによる対決も佳境を迎え、結末へ向けて花を添えます。

が、少女は精魂尽き果て意識を失い、
頭目は船で中国へ逃げようとし、用心棒は復讐は遂げたと少女に嘘をつくことで本質的に少女には復讐を遂げさせない形を選びます。

結局、物理的に仇が死ぬ事よりも大事なのは、敵討ちが果たされたと思う事であり、子供騙しではあるが、真っ当な解決策ではあると思いました。

が、船が港を離れるその瞬間に、少女は仇の胸に刀を立てます。

その時、仇は諦めた様な、当然だと思う様に、うっすらと笑みを浮かべて抵抗する事なくその刃をその身に受け入れました。

その瞬間の少女の描写は特にありません。腕と刀と海に落ちる仇の姿。

その時、彼女を突き動かしたのは、恨みつらみではなかったのではないかと思っています。

衝動よりも、反応。

食べ物が置かれればそれを平らげる様に、仇がいればそれを討つという親を殺されてから刻まれた身体の反射。

その時始めて、少女の復讐心が本物だったと合点がいきました。

なんだかんだと言っても、復讐を果たせないのではないか?
そう思っていました。

若さ故の純粋な感情と言ってしまえば、簡単ですが、
それを最後の最後で漫画としてベストな表現を描き切ったと思います。

にしても、長かった。

因みにこの漫画には悪役として最低な人間が出てきます。
世には色んな悪役がありますが、私の中ではこの男が最高の悪役ではないかと思っています。

次に漫画の最終巻で感想を書くのは、「サイコ」でしょうか?
にしても、恐らく5年位はかかるのではないかと予想しています。

蛇足に次ぐ蛇足ですが、
かのワンピースの最終回はこのまま行けば社会現象になるんじゃないかなって楽しみにしています。
あれもどうやって終わるんだろうなぁ。










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