前に読んだのは単行本で、文庫本に追加収録されている短編の事も知らなかった。何となく手に取って、
衝動的に読んだ。

田村はまだかのスピンオフとでもいった感じだろうか。
あの作品のスピンオフって…と敬遠しても抗えない。わたしにとってあれはそういう作品の一つだ。

同窓会に参加していた人物の一人が帰る途中で酔っ払いの女性に遭遇する。

呂律の回らない話に耳を貸して、それを楽しんでいる。

どことなくこの主人公は薄い。

文中でも書かれているとおり、彼の人生に冒険は似合わない。

だから、物語は何があるわけでもない。

けれど、読後に訪れるこの感情は何もない物語からは起こらない。

だから、何かあったのだろう。

その何かが問題なのではなく、どう書かれているかが問題なのだ。

なら、それを書いてしまえば、伝わるかと言えば伝わらない。

ただ、鈴木鏡子だろの部分に昔好きだった人の名を入れたくなる私の人生も彼と似ているのかもしれない。










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